診療所の向精神薬の管理は、麻薬に比べて手続きが少なく、免許も届出もほとんど要りません。その代わり、鍵をかけて保管すること、第1種・第2種の出入りを記録して2年残すこと、一定数量以上なくなったら届け出ることの3つは、麻薬及び向精神薬取締法と施行規則で決まっています。
この記事では、大阪府・東京都の「病院・診療所における向精神薬取扱いの手引き」に沿って、診療所でやることを判定表で整理します。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
診療所の向精神薬の管理で義務になっていること
向精神薬は、乱用のおそれと医療上の有用性の程度によって第1種から第3種に分かれています。管理の義務は、種別によって記録の要否が変わる点以外はほぼ共通です。
| 管理の項目 | 第1種 | 第2種 | 第3種 |
|---|---|---|---|
| 鍵をかけた設備での保管 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 譲受け・譲渡し・廃棄の記録(2年保存) | 必要 | 必要 | 不要 |
| 廃棄の届出 | 不要 | 不要 | 不要 |
| 一定数量以上の滅失・盗難の届出 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 代表的な成分の例 | メチルフェニデート、モダフィニル | フルニトラゼパム、ペンタゾシン、ブプレノルフィン | ジアゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、エチゾラム |
病院・診療所は、向精神薬を扱うための免許や登録を別に受ける必要はありません。薬の仕入れは、原則として向精神薬の卸売業者などから行います。
向精神薬の保管と鍵をかける場所の決め方
向精神薬は、医療従事者が盗難防止に必要な注意をしている場合を除き、鍵をかけた設備の中で保管します(法第50条の21、施行規則第40条)。
診療所での決め方は次のとおりです。
| 置き場所 | 鍵の要否 |
|---|---|
| 診療時間中、スタッフが常にいる薬剤棚 | スタッフが注意していれば必須ではない。ただし患者の手が届く位置には置かない |
| 診療時間外・休診日の薬剤棚 | 注意する人がいないので、棚・引き出し、またはその部屋の出入口のどちらかに鍵をかける |
| 処置室・往診かばんに出した分 | 出す量を必要最小限にし、管理する責任者を決める |
東京都の手引きは、ペンタゾシンやブプレノルフィンなどの注射剤を、乱用・盗難の危険が高いものとして特に厳重に管理するよう求めています。麻薬金庫に入れる必要はありませんが、内服薬とは別の鍵付きの引き出しにまとめておくと、在庫の確認も楽になります。
向精神薬の記録(第1種・第2種の譲受け・譲渡し・廃棄)
第1種と第2種の向精神薬は、譲り受けたとき・譲り渡したとき・廃棄したときに、次の事項を記録し、2年間保存します(法第50条の23第2項、施行規則第42条)。
- 品名(販売名)
- 数量
- 年月日
- 譲受け・譲渡しの相手方の名称と所在地
記録は帳簿でなくてもかまいません。卸売業者の納品伝票を保存することで、譲受けの記録に代えられます。その場合は、向精神薬の載っていない伝票と分けて綴じます。
患者への交付・施用、患者から返された薬の受け取り、返された薬の廃棄は、記録しなくてよいとされています。一方で、同じ法人の別の診療所とのあいだで融通した場合は、譲受け・譲渡しとして記録が必要です。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
向精神薬の廃棄は届出不要、ただし回収困難な方法で
期限が切れた向精神薬を廃棄するとき、都道府県への届出は要りません。廃棄の方法は、焼却、酸・アルカリなどによる分解、希釈、他の薬剤との混合など、回収が困難な方法で行います。錠剤をそのまま一般ごみに出すのは、この条件を満たしません。
第1種・第2種を廃棄したときは、品名・数量・年月日を記録します。第3種は記録の義務はありませんが、在庫の数を説明できるように、院内の在庫表には残しておくと安全です。
向精神薬の滅失・盗難の届出が要る数量
向精神薬が滅失・盗難・所在不明などで次の数量以上なくなったときは、速やかに都道府県(薬務課や保健所)に届け出ます(法第50条の22、施行規則第41条。様式の名称は「向精神薬事故届」)。
| 剤形 | 届出が要る数量 |
|---|---|
| 末・散剤・顆粒剤 | 100グラム(包) |
| 錠剤・カプセル剤・坐剤 | 120個 |
| 注射剤 | 10アンプル(バイアル) |
| 内用液剤 | 10容器 |
| 経皮吸収型製剤 | 10枚 |
盗難・強奪・詐取が明らかな場合は、数量にかかわらず警察署にも届け出ます。棚卸しで数が合わないときに、この表の数量を超えているかを最初に確認します。
患者から返された向精神薬の扱い
患者や家族から余った向精神薬が返されたときは、受け取ってかまいません。法律上は譲受けの一つとして認められています。
返された薬を廃棄するときは、記録は要りません。ただし、在庫の薬と混ぜて再び使うことはしません。卸売業者に返品する場合は、譲渡しに当たるため第1種・第2種は記録します。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
向精神薬と麻薬の管理の違い
| 項目 | 向精神薬 | 麻薬 |
|---|---|---|
| 医師の免許 | 不要 | 麻薬施用者免許が必要 |
| 保管 | 鍵をかけた設備(棚・引き出し・部屋の出入口のいずれか) | 鍵をかけた堅固な設備(麻薬金庫など) |
| 記録 | 第1種・第2種の譲受け・譲渡し・廃棄 | すべての受け入れ・施用・廃棄を麻薬帳簿に |
| 廃棄 | 届出不要 | 調剤前は事前届出と職員の立会い、調剤済は事後届出 |
| 年間報告 | 無し | 有り |
麻薬を廃棄するときの手続きは、別の記事「麻薬の廃棄届」で、麻薬廃棄届と調剤済麻薬廃棄届の使い分けを判定表にしています。
よくある質問
エチゾラムやゾルピデムも鍵をかけて保管する必要があるか
第3種向精神薬も、保管の義務は第1種・第2種と同じです。スタッフが注意していない時間帯は、棚・引き出し、または部屋の出入口に鍵をかけます。記録の義務は無いのが第1種・第2種との違いです。
卸の納品伝票を保存していれば帳簿は要らないか
譲受けの記録は、伝票の保存で代えられます。廃棄と譲渡しは伝票が無いので、別に記録を付けます。
処方日数の上限も管理に含まれるか
処方日数の上限は、診療報酬の算定ルール(投薬期間に上限のある医薬品)の話で、この記事で扱った取締法上の管理とは別です。
まとめ
診療所の向精神薬の管理は、鍵をかけた保管、第1種・第2種の出入りの記録(2年保存)、一定数量以上の滅失・盗難の届出の3つです。廃棄の届出は要りませんが、回収できない方法で廃棄し、第1種・第2種は記録します。院内では、注射剤をまとめる鍵付きの引き出しと、月1回の棚卸しの担当を決めておくと、届出の要否もすぐ判断できます。
医薬品の管理体制全体は、医薬品安全管理責任者の選び方と業務手順書もあわせて確認してください。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
参考
- 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号) https://laws.e-gov.go.jp/law/328AC0000000014
- 大阪府「病院・診療所・飼育動物診療施設における向精神薬取扱いの手引き」 https://www.pref.osaka.lg.jp/o100100/yakumu/makoutori/koutebikibyousin.html
- 東京都保健医療局「向精神薬取扱いの手引」 https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/r0507_tebiki_kousei_
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2026年10月時点の情報を元に作成しています。
