第三者行為による傷病届とは|交通事故・けんかで来院した患者を健康保険で診るときの受付対応、「保険証は使えないの?」への答え方

交通事故やけんか、他人の飼い犬にかまれたけがなど、相手(第三者)がいるけがで来院した患者も、健康保険で診療できます。健康保険を使うときに必要になるのが第三者行為による傷病届です。

先に結論を書きます。この届は患者(被保険者)が自分の加入する保険者に出す書類で、医療機関が書いたり提出したりするものではありません。受付がすることは3つです。相手のいるけがかを聞き取ること、患者に届出が必要だと伝えること、レセプトの特記事項に「10 第三」を入れることです。

この記事は、受付と医療事務の方に向けて、聞き取りの手順、健康保険・自賠責・労災の分かれ目、患者への答え方と案内文をまとめます。根拠は健康保険法と同施行規則、国民健康保険法施行規則、厚生労働省の通知、令和8年3月27日改正の診療報酬請求書等の記載要領です。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

目次
  1. 第三者行為による傷病届は患者が保険者に出す書類
    1. なぜ届出が要るのか
  2. 交通事故・けんか・動物にかまれたなど第三者行為に当たるかの判定表
  3. 「交通事故だと保険証は使えないのでは」への答え方
    1. 健康保険で受けるときに患者に伝えておくこと
  4. 第三者行為の患者を受け付けるときの聞き取りと確認
  5. 健康保険・自賠責・労災のどれで受けるかの境界線
  6. 第三者行為のレセプトは特記事項に「10 第三」
  7. けんか・飲酒運転などで健康保険の給付が制限される場合
  8. 第三者行為による傷病届と労災の第三者行為災害届の違い
  9. 第三者行為の患者に渡す案内文
  10. よくある質問
    1. 第三者行為による傷病届は、医療機関が記入する欄がありますか
    2. 患者が届を出さないと、医療機関に不利益はありますか
    3. 最初は自賠責で受けていた患者が、途中から健康保険にしたいと言ってきました
    4. 加害者が分からない場合も届は要りますか
  11. まとめ
  12. 参考

第三者行為による傷病届は患者が保険者に出す書類

健康保険法施行規則第65条は、療養の給付を受ける理由が第三者の行為によって生じたときは、被保険者が遅滞なく、届出に係る事実、第三者の氏名と住所、被害の状況を書いた届書を保険者に提出しなければならないと定めています。国民健康保険では、同施行規則第32条の6が、世帯主(または組合員)が市町村や国保組合に直ちに届け出ると定めています。

患者の加入先 届け出る人 提出先
協会けんぽ・健康保険組合・共済組合 被保険者(家族のけがでも被保険者が出す) 加入している保険者(協会けんぽは都道府県支部)
市町村の国民健康保険 世帯主 住所地の市町村
国民健康保険組合 組合員 加入している国保組合
後期高齢者医療 被保険者 市町村の窓口(広域連合)

届の様式は保険者ごとに違います。協会けんぽの場合は、傷病届に加えて、交通事故なら事故発生状況報告書・同意書・交通事故証明書を付けます。相手方の損害保険会社が書類の作成を手伝ってくれることもあります。

なぜ届出が要るのか

本来、相手のいるけがの治療費は加害者が払うものです。健康保険を使うと、保険者がその治療費をいったん立て替えることになります。健康保険法第57条は、保険者が保険給付をした額の範囲で、患者が加害者に対して持つ損害賠償請求権を取得すると定めています。保険者は届をもとに、立て替えた分を加害者側に請求します(求償)。

医療機関から見ると、届の有無で窓口の会計は変わりません。患者が届を出していなくても、その日は保険診療として受け付けます。

交通事故・けんか・動物にかまれたなど第三者行為に当たるかの判定表

「第三者行為」は交通事故だけではありません。受付で聞き取った内容から、次の表で当てはまるかを判断します。

来院の理由 第三者行為か 補足
車・自転車にぶつけられた、追突された 当たる 同乗していた家族の車の自損事故でも、運転者以外は当たる
けんか・暴力を受けた 当たる 給付制限の対象になる場合がある(後述)
他人の飼い犬にかまれた 当たる 飼い主が相手
飲食店の料理で食中毒になった 当たる 店が相手
店の床が濡れていて転んだ、看板が落ちてきた 当たる場合がある 施設の管理に原因があるとき
自分で転んだ、自分の運転する車の単独事故 当たらない 自分のけが
仕事中・通勤中に相手のいる事故にあった 健康保険の対象外 労災保険で受ける(後述)
相手が分からない(ひき逃げなど) 当たる 届の相手方の欄は「不明」と書く

加害者が分からない場合も届は必要です。施行規則第65条は、第三者の氏名や住所が分からないときは「その旨」を書くと定めています。

「交通事故だと保険証は使えないのでは」への答え方

患者から「交通事故は保険証が使えないと聞いた」と言われることがあります。答えは使えます。

厚生労働省は平成23年8月9日の通知「犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて」で、犯罪や自動車事故の被害によるけがも、一般の保険事故と同じく医療保険の給付の対象であると示しています。同じ通知は、加害者の誓約書が無くても保険給付は行われること、相手先が無い・求償が難しいことを理由に給付を断ることはできないことも明記しています。

窓口では、たとえば次のように答えます。

交通事故のけがでも健康保険で受診できます。ただし、加入している健康保険に「第三者行為による傷病届」を出していただく必要があります。届け出先は保険証(資格確認書)に書かれている保険者です。

院内で「交通事故は自費(自賠責)でしか受けない」と決めている医療機関もありますが、それは医療機関側の方針であって、制度上、健康保険が使えないわけではありません。患者に「保険証は使えない」と案内すると誤りになります。

健康保険で受けるときに患者に伝えておくこと

  • 加入している保険者に、第三者行為による傷病届を早めに出すこと
  • 加害者と示談をする前に保険者に連絡すること。示談で治療費を受け取ると、その分は健康保険が給付しない(健康保険法第57条第2項)
  • 加害者側から治療費を受け取ったら、保険者に報告すること

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

第三者行為の患者を受け付けるときの聞き取りと確認

受付では次の順に聞き取ります。問診票に1行、「けがの場合、相手はいますか」の欄を設けておくと漏れません。

  1. けがの原因を聞く(いつ・どこで・何をしていて)
  2. 仕事中か、通勤中かを聞く。どちらかなら労災の受付に切り替える
  3. 相手がいるか、相手は分かっているかを聞く
  4. 交通事故なら、相手方の保険会社から医療機関に連絡が来ているか(一括対応か)を聞く
  5. 健康保険で受診するか、自賠責で受診するかを患者と確認する
  6. 健康保険で受けるなら、資格確認をして通常どおり受け付け、届出の案内を渡す
  7. 電子カルテ・レセコンに「第三者行為」の印を付ける(レセプトの特記事項に使う)

7を受付の段階で入れておくと、月末のレセプト作成で特記事項の入れ忘れが起きません。

健康保険・自賠責・労災のどれで受けるかの境界線

相手のいるけがは、受け方が3通りに分かれます。どれが正解というものではなく、患者の状況で決まります。

受け方 向いている条件 窓口の会計 受付がすること
労災保険 仕事中・通勤中のけが(相手の有無を問わない) 労災指定医療機関なら窓口負担なし 様式第5号(通勤は第16号の3)を受け取る
自賠責・任意保険(自由診療) 交通事故で、相手方の保険会社が医療機関へ一括で支払うと連絡してきている 相手方の保険会社に請求(患者負担なしのことが多い) 保険会社の担当者・連絡先と、支払いの約束を確認する
健康保険 + 第三者行為の届 相手の保険会社が対応しない、相手が無保険・不明、患者の過失が大きい、治療が長引きそう 通常の負担割合(3割など) 届出の案内を渡し、特記事項「10 第三」を入れる

健康保険も自賠責も使わないケースは、相手との話がついておらず患者が自分で全額を払うと決めている場合です。このときは自費として会計し、領収書と診療明細書を渡します。後から健康保険に切り替えたいと言われたときの扱いは保険者によるので、保険者に相談するよう案内します。

業務中・通勤中のけがに健康保険は使えません。健康保険は業務外の事故に給付する制度だからです(健康保険法第1条)。仕事中のけがの受付の流れは「労災の受診の流れ」にまとめています。自賠責の請求書類を電子カルテ・レセコンから出す手順は「ORCAで労災・自賠責のレセプトを作るには」を参照してください。

第三者行為のレセプトは特記事項に「10 第三」

記載要領は、患者のけがや病気が交通事故など第三者の不法行為によって生じたと認められる場合、レセプトの「特記事項」欄に「第三」と記載するよう定めています。特記事項のコードは「10」です。従来の「交」などの記載でも差し支えないとされています。

項目 書くこと
特記事項 10 第三
摘要欄 特別な記載は不要。保険者から照会があれば、受傷日と原因を答えられるよう診療録に残す

保険者は、この特記事項を手がかりに、第三者行為の届がまだ出ていない患者を見つけて届出を促します。特記事項が抜けると、保険者が求償の機会を失います。月の途中で第三者行為と分かったときも、その月のレセプトから入れます。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。


オンライン資格確認の対応状況をまとめた資料があります

受付での確認や返金の手間は、資格確認をオンラインで完結できるかどうかで変わります。経過措置の考え方と、対応ベンダーの一覧をまとめました。

オンライン資格確認の解説と対応ベンダー一覧を見る

けんか・飲酒運転などで健康保険の給付が制限される場合

けんかのけがも健康保険の給付の対象ですが、法律には給付を制限できる規定があります。

規定 内容
健康保険法第116条 自分の故意の犯罪行為や、故意にけがをした場合は、保険給付を行わない
健康保険法第117条 闘争・泥酔・著しい不行跡によるけがは、保険給付の全部または一部を行わないことができる

第117条は「行わないことができる」で、制限するかどうかを判断するのは保険者です。医療機関が窓口で「けんかだから保険は使えない」と判断する必要はありません。けんかで殴られた側の患者は、通常どおり健康保険で受け付けて、届出を案内します。

自治体によっては、飲酒運転や無免許運転による事故を給付制限の対象として案内している国保もあります。保険者から給付制限の連絡が来た場合は、その指示に従って扱いを変えます。

第三者行為による傷病届と労災の第三者行為災害届の違い

名前が似ている書類に、労災保険の第三者行為災害届があります。仕事中・通勤中に相手のいる事故にあったときに出すもので、出し先も根拠も違います。

項目 第三者行為による傷病届 第三者行為災害届
使う場面 業務外のけがを健康保険で治療する 仕事中・通勤中のけがを労災保険で治療する
出す人 被保険者(国保は世帯主) 保険給付を受ける労働者
出し先 加入している保険者 所轄の労働基準監督署長
根拠 健康保険法施行規則第65条、国民健康保険法施行規則第32条の6 労働者災害補償保険法施行規則第22条
医療機関の書類 なし(レセプトの特記事項「10 第三」) 労災の様式第5号・第16号の3など

通勤途中に車にぶつけられたけがは、健康保険ではなく労災(通勤災害)になります。患者が「保険証で」と言っても、受付で聞き取った内容が通勤中なら労災の受付に切り替え、第三者行為災害届は勤務先と相談して労働基準監督署に出すよう案内します。

第三者行為の患者に渡す案内文

口頭の説明だけでは、患者が保険者への届出を忘れます。受付で次の文面を渡すと、家族や勤務先にも説明しやすくなります。

交通事故・けんかなど、相手のいるけがで健康保険を使う方へ

・健康保険で受診できます。本日は通常の自己負担でのお支払いです。
・ご加入の健康保険(保険証・資格確認書に書かれている保険者)に「第三者行為による傷病届」を出してください。様式は保険者のホームページか窓口で入手できます。
・交通事故の場合は、交通事故証明書などの添付が必要です。
・相手の方と示談をする前に、必ず保険者に連絡してください。示談の内容によっては健康保険が使えなくなります。
・お仕事中・通勤中のけがの場合は、健康保険ではなく労災保険の手続きになります。受付にお申し出ください。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

よくある質問

第三者行為による傷病届は、医療機関が記入する欄がありますか

ありません。届は被保険者(国保は世帯主)が記入して保険者に出します。保険者によっては、診療を受けた医療機関名や受診日を書く欄があるので、患者に聞かれたら医療機関名・所在地・初診日を伝えます。

患者が届を出さないと、医療機関に不利益はありますか

医療機関の診療報酬が支払われないことはありません。届出は患者と保険者の間の手続きです。ただし、保険者から医療機関に受傷原因の照会が来ることがあるので、診療録に受傷日と原因を残しておきます。

最初は自賠責で受けていた患者が、途中から健康保険にしたいと言ってきました

月の途中から健康保険に切り替えること自体はできます。切り替え日以降を保険診療としてレセプトに載せ、特記事項に「10 第三」を入れます。それより前の自由診療分の扱いは、相手方の保険会社との取り決めによるので、患者と保険会社で確認してもらいます。

加害者が分からない場合も届は要りますか

要ります。施行規則は、第三者の氏名や住所が分からないときはその旨を書くと定めています。ひき逃げなどは、警察への届出の状況も保険者に伝えるよう案内します。

まとめ

相手のいるけがも健康保険で診療でき、第三者行為による傷病届は患者が保険者に出す書類です。受付では仕事中・通勤中でないかを確かめ、健康保険で受けるなら届出の案内を渡し、レセプトの特記事項に「10 第三」を入れます。けんかの給付制限を判断するのは保険者で、窓口で保険の使用を断る理由にはなりません。

参考

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、