ひとり親家庭等医療費助成制度の窓口対応|医療証の確認、自治体で違う自己負担、公費負担者番号とレセプト、県外受診の償還払いの案内

ひとり親家庭等医療費助成制度は、国の法律に基づく公費ではなく、都道府県と市区町村が独自に行う医療費助成です。そのため、対象者・自己負担・所得制限・医療証の名前・公費負担者番号の先頭2桁まで、自治体ごとに違います。

受付で押さえることは3つです。医療証の発行元と自己負担の額を毎回見ること、国の公費(小児慢性特定疾病・自立支援医療など)があればそちらを先に当てること、自院の都道府県の外の医療証は窓口で使えず償還払いの案内になることです。

この記事は、受付と請求を担当する医療事務の方に向けて、医療証の確認項目、自治体ごとの違いの例、レセプトの入れ方、患者への案内をまとめます。申請の手続きや所得制限の細部は患者が住む自治体が案内するもので、ここでは窓口とレセプトで必要なことに絞ります。例として、医療機関向けの手引きを公開している東京都・千葉県と、大阪府の案内を使います。

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目次
  1. ひとり親家庭等医療費助成は自治体の単独事業で決まりは住所地ごと
  2. ひとり親家庭等医療費助成の医療証で受付が確認すること
  3. ひとり親家庭等医療費助成の自己負担は自治体で違う(東京都・千葉県・大阪府の例)
    1. 計算例: 千葉県で自己負担300円の受給券、外来
  4. ひとり親家庭等医療費助成の公費負担者番号は自治体が決める
  5. ひとり親家庭等医療費助成と他の公費が重なったときの順番とレセプト
    1. 計算例: 東京都で小児慢性特定疾病とマル親(課税世帯)を併用
  6. 県外受診・医療証を忘れたときのひとり親医療費の償還払いの案内
  7. ひとり親の医療証の更新月に起きやすい受付ミス
  8. よくある質問
    1. 子どもの医療費助成とひとり親家庭等医療費助成の医療証を両方出されました
    2. 入院時の食事代も助成されますか
    3. 健診や予防接種にも使えますか
    4. 交通事故のけがで受診した場合も医療証を使えますか
  9. まとめ
  10. 参考

ひとり親家庭等医療費助成は自治体の単独事業で決まりは住所地ごと

国の公費負担医療(法別番号の一覧に載っている制度)と、ひとり親家庭等医療費助成の違いを先に整理します。

項目 国の公費(例: 小児慢性特定疾病 52) ひとり親家庭等医療費助成
根拠 法律(児童福祉法など) 都道府県・市区町村の条例・要綱
法別番号 全国共通 自治体が決める(東京都は81、千葉県は85)
自己負担 全国共通の基準 自治体ごとに違う
使える医療機関 指定医療機関など全国 原則、発行した都道府県内の医療機関
他の公費との順番 法律や通知で決まる 国の公費が先、ひとり親の助成は後

対象者の考え方は多くの自治体で似ています。18歳に達した年度末までの児童(障害がある場合は20歳未満)を監護するひとり親家庭の父または母、養育者と、その児童です。ただし、所得が限度額以上の世帯、生活保護を受けている世帯、施設に措置で入所している児童は対象外です(東京都・千葉県の案内)。

「ひとり親家庭の医療証」は、親だけでなく子どもにも発行されます。子ども本人の医療証と、親本人の医療証は別のものです。親子で受診したときは、それぞれの医療証を確かめます。

ひとり親家庭等医療費助成の医療証で受付が確認すること

医療証(受給券、受給者証など自治体で呼び方が違う)を受け取ったら、次の項目を見ます。

  • [ ] 発行した自治体。自院のある都道府県の外の医療証は、窓口で使えないのが原則
  • [ ] 受給者の氏名・生年月日が、保険の資格情報と一致するか
  • [ ] 公費負担者番号(8桁)と受給者番号(7桁)
  • [ ] 有効期間。更新月の前後は特に見る
  • [ ] 自己負担の欄(「1割」「300円」「0円」「全額自己負担」など)
  • [ ] 住民税の課税・非課税の区分が番号や欄で分かれていないか

自己負担の欄に「全額自己負担」と書かれた受給券を発行する自治体もあります。千葉県の重度心身障害者医療費助成の手引きでは、この場合は助成の対象にならないので、通常の保険の一部負担金を受け取ると案内しています。書かれている文字をそのまま読むのが確実です。

番号の桁数と検証番号の確かめ方は「公費の受給者番号の見方」にまとめています。

ひとり親家庭等医療費助成の自己負担は自治体で違う(東京都・千葉県・大阪府の例)

同じ名前の制度でも、窓口で受け取る額は都道府県ごとに大きく違います。

自治体 窓口での自己負担 備考
東京都(マル親) 住民税課税世帯は1割(外来は月18,000円が上限)、非課税世帯は負担なし 入院時の食事代は助成の対象外
千葉県 通院1回・入院1日につき0円・200円・300円のいずれか(市町村で違う) 保険の一部負担金がこの額に満たなければ、一部負担金の額。保険薬局の調剤は負担なし
大阪府 1医療機関あたり1日最大500円、月2日まで 院外処方の薬局は負担なし。月の負担が2,500円を超えた分は市町村で払い戻し(府の案内、2021年4月更新時点)

東京都の外来の上限は、年間144,000円を超えた分も助成されます。入院は世帯合算で月57,600円、多数回該当で44,400円が上限です。

千葉県の手引きは、レセコンに市町村ごとの金額を固定で設定するのではなく、受給券に書かれた金額を見て入力・選択する仕様を勧めています。市町村が自己負担を変えると、設定を直す手間が出るからです。自己負担の額はレセコンの公費マスタに頼り切らず、受給券の表示と見比べます。

計算例: 千葉県で自己負担300円の受給券、外来

保険の3割負担が1,560円の受診の場合、窓口で受け取るのは300円です。残りの1,260円が助成されます。同じ受給券で3割負担が240円の受診なら、受け取るのは240円です(300円に満たないため)。

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ひとり親家庭等医療費助成の公費負担者番号は自治体が決める

国の法別番号一覧に、ひとり親家庭等医療費助成の番号はありません。都道府県が番号の付け方を決めています。

自治体 先頭2桁 番号の組み立て
東京都 81 課税世帯は「81136」、非課税世帯は「81137」で始まる
千葉県 85 85+県番号12+自己負担区分1桁+市町村番号2桁+検証番号

注意したいのは、同じ2桁が別の都道府県では別の制度を指すことです。東京都では81がひとり親家庭等医療費助成ですが、千葉県では81は重度心身障害者医療費助成の番号です。先頭2桁だけで制度を判断せず、医療証の名前と発行元で確かめます。

千葉県の番号には、5桁目に自己負担区分(0円・200円・300円など)が入ります。番号から自己負担が読める作りですが、市町村独自の基準もあるため、最終的には受給券の自己負担欄を見ます。

ひとり親家庭等医療費助成と他の公費が重なったときの順番とレセプト

ひとり親家庭等医療費助成は、国の公費が先に当たり、残った自己負担を助成します。千葉県の手引きは、他の公費負担制度が優先し、先に当てた公費に自己負担があればその部分が助成の対象になると説明しています。

重なる公費 順番 窓口での扱い
小児慢性特定疾病(52)、指定難病(54) 第1公費が52・54、第2公費がひとり親 52・54の自己負担の範囲で、ひとり親の自己負担を受け取る
自立支援医療(精神通院21、育成医療16など) 第1公費が自立支援医療 同上
児童福祉法の措置等に係る医療(53) 53だけ 53が一部負担金の全額を負担するので、ひとり親の助成は使わない
子どもの医療費助成・重度心身障害者医療費助成 どちらか一方 千葉県は、両方の受給券があってもどちらか一方だけで請求すると案内。東京都は医療証を重複して発行しない

計算例: 東京都で小児慢性特定疾病とマル親(課税世帯)を併用

東京都が医療機関向けに出している資料の例です。医療保険3割、小児慢性特定疾病の上限額が月5,000円、マル親の自己負担が1割の外来です。

診療日 総点数 公費①(52)の一部負担金 公費②(81)の一部負担金=窓口で受け取る額
1日目 2,200点 4,400円 2,200円(総点数の1割)
2日目 1,000点 600円 600円(1割は1,000円だが、52の負担額600円まで)
3日目 2,000点 0円 0円
合計 5,200点 5,000円 2,800円

自己負担上限額管理票には52の一部負担金(4,400円、600円)を書き、窓口ではマル親の一部負担金を受け取ります。レセプトの一部負担金額は、窓口で10円未満を四捨五入する場合でも、四捨五入する前の1円単位で記載します。

公費の第1・第2の並べ方の一般的な決まりは「公費負担医療制度の法別番号一覧」で解説しています。

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県外受診・医療証を忘れたときのひとり親医療費の償還払いの案内

ひとり親家庭等医療費助成は、発行した都道府県の中の医療機関で医療証を出したときに、窓口で使えます(現物給付)。それ以外は、患者がいったん保険の自己負担を払い、後で市区町村に申請します(償還払い)。

状況 その日の会計 患者に案内すること
都道府県の外の医療証を出された(旅行先、里帰り、県境の通院) 保険の自己負担割合で受け取る 領収書を持って、住所地の市区町村に申請する
医療証を忘れた 保険の自己負担割合で受け取る 同上。次回、同じ月なら返金できるかは院内で決めておく
医療証の申請中で、まだ届いていない 保険の自己負担割合で受け取る 医療証が届いたら、領収書を持って市区町村に申請する
東京都の医療証を、都内のマル親を扱わない医療機関に出した 保険の自己負担割合で受け取る 同上

患者に渡す案内文の例です。

本日は、医療証が使えない受診のため、健康保険の自己負担分をお支払いいただきました。領収書(保険点数の分かるもの)を保管し、お住まいの市区町村のひとり親家庭等医療費助成の窓口に申請すると、助成分が払い戻されます。申請に必要なものや期限は、市区町村の案内でご確認ください。

領収書は、保険点数が分かる形で渡します。市区町村は領収書の点数から助成額を計算するためです。

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ひとり親の医療証の更新月に起きやすい受付ミス

医療証は毎年更新され、更新のときに番号や自己負担が変わることがあります。

自治体 更新の時期
東京都(マル親) 毎年1月1日
千葉県 原則、毎年11月(受給券の有効期間は10月31日まで)

更新月に起きやすいのは次の3つです。

  1. 前月までのレセコンの登録のまま、新しい医療証の番号を入れ忘れる
  2. 所得の判定が変わり、課税・非課税の区分(東京都なら81136と81137)が入れ替わったのに気づかない
  3. 所得制限で更新されず、医療証が届いていない患者に、古い医療証のまま助成を当てる

更新月は、医療証の有効期間と番号を全員分見比べます。千葉県の手引きも、受給券の更新月は公費負担者番号が変わる可能性があるので、受診ごとに確認するよう求めています。

よくある質問

子どもの医療費助成とひとり親家庭等医療費助成の医療証を両方出されました

自治体の決まりに従ってどちらか一方を使います。東京都は同じ人に重複して医療証を発行しない仕組みです。千葉県は、両方の受給券が有効でも、どちらか一方だけを記載して請求するよう案内しています。どちらを使うかが分からなければ、医療証を発行した市区町村に確認します。

入院時の食事代も助成されますか

自治体で違います。東京都のマル親は、入院時の食事療養・生活療養の標準負担額を助成の対象外としています(区市町村が独自に助成する場合あり)。千葉県は、入院の給付対象に食事療養・生活療養の標準負担額を含めています。

健診や予防接種にも使えますか

使えません。助成の対象は保険診療の自己負担分で、健康診断・予防接種・差額ベッド代などの保険外の費用は対象外です。

交通事故のけがで受診した場合も医療証を使えますか

東京都は、交通事故などの第三者行為が原因でも、医療保険が使える医療であれば原則として医療証を使えるとしています。ただし事前の確認や届出が必要な場合があり、区市町村が後日加害者に求償することがあります。健康保険側の届出は、第三者行為による傷病届の記事で解説しています。

まとめ

ひとり親家庭等医療費助成制度は自治体の単独事業で、自己負担・番号・更新月が都道府県ごとに違います。受付では医療証の発行元と自己負担欄を毎回見て、国の公費があればそちらを第1公費にし、ひとり親の助成は残りの自己負担に当てます。都道府県の外の医療証や忘れた日は保険の自己負担で受け取り、点数の分かる領収書を渡して償還払いを案内します。

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参考

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提供形態

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診療科目

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