処方日数制限の一覧|14日・30日・90日の区分と根拠の告示、麻薬・向精神薬・睡眠薬・新薬の上限

保険診療では、ほとんどの薬に処方日数の上限はありません。上限があるのは、厚生労働大臣が告示で定めた一部の薬だけで、上限は1回14日分・30日分・90日分の3段階です。

迷いやすいのは、どの薬がどの段階に入るかです。向精神薬の「第1種〜第3種」と日数の上限は別の仕組みで、同じ成分でも内服薬と坐剤で上限が変わることがあります。新薬の14日ルールも、解除される日を数え違えると、査定や薬局からの疑義照会につながります。

この記事は、処方を入力する医師と、処方内容を点検する医療事務の方に向けて、処方日数制限の区分を一覧にし、根拠の告示と、区分を見分けるときの境界をまとめたものです。上限を超えた処方でレセプトにコメントが要るかどうかは、別の記事「処方日数が90日以上のとき、レセプトにコメントは要る?」で扱っています。

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目次
  1. 処方日数制限の一覧表|麻薬・向精神薬・新医薬品の区分と上限日数
  2. 処方日数制限の根拠は療担規則第20条と掲示事項等告示(平成18年厚生労働省告示第107号)第10
  3. 麻薬の処方日数制限|30日分の成分と14日分になるもの
  4. 向精神薬の処方日数制限|第1種〜第3種の区分と日数は別物
    1. 同じ成分でも、内服と坐剤・貼付剤で上限が変わる
  5. 睡眠薬の処方日数制限|30日の薬と上限のない薬の境界
  6. 新薬(新医薬品)の処方日数制限|14日ルールの解除日の数え方
    1. 新薬でも14日ルールがかからないものがある
  7. 14日制限の例外|海外渡航・年末年始などの特殊の事情で認められる範囲
  8. 処方日数制限で査定・疑義照会を出さないための確認
  9. よくある質問
    1. 処方日数制限は1日あたりの量にも関係しますか
    2. 頓服で出す場合も日数制限は気にしたほうがよいですか
    3. 上限30日の薬を、2週間ごとに受診させて15日分ずつ出すのは問題ありますか
    4. リフィル処方箋で上限のある薬を出せますか
  10. まとめ
  11. 参考

処方日数制限の一覧表|麻薬・向精神薬・新医薬品の区分と上限日数

告示が定める区分を、上限日数ごとに並べると次のとおりです。成分名は代表的なものに絞っています。全品目は告示の本文で確かめてください。

上限 対象になる区分 代表的な成分 剤形
1回14日分 麻薬(30日分の欄に載っているものを除く) 30日分の欄に載っていない麻薬すべて 内服・外用・注射
1回14日分 向精神薬(30日分・90日分の欄に載っているものを除く) マジンドール、ペンタゾシン、ジアゼパムの坐剤など 内服・外用・注射
1回14日分 新医薬品で、薬価収載の翌月1日から1年を経過していないもの 発売から1年以内の新薬(例外の指定があるものを除く) 内服・外用・注射
1回30日分 告示の30日分の欄に成分名で載っている内服薬 アルプラゾラム、エチゾラム、ゾルピデム酒石酸塩、トリアゾラム、ブロチゾラム、フルニトラゼパム、メチルフェニデート塩酸塩、オキシコドン塩酸塩、モルヒネ塩酸塩など 内服
1回30日分 告示の30日分の欄に載っている外用薬 フェンタニル、フェンタニルクエン酸塩、モルヒネ塩酸塩を含む外用薬 外用
1回30日分 告示の30日分の欄に載っている注射薬 フェンタニルクエン酸塩、ブプレノルフィン塩酸塩、モルヒネ塩酸塩を含む注射薬 注射
1回90日分 告示の90日分の欄に載っている内服薬 ジアゼパム、ニトラゼパム、フェノバルビタール、クロナゼパム、クロバザムを含む内服薬、フェニトイン・フェノバルビタール配合剤 内服のみ
上限なし 上の欄のどれにも当たらない薬 降圧薬、脂質異常症の薬、糖尿病の薬など多くの内服薬 —

表の読み方は「まず30日分・90日分の欄に成分名があるかを見て、なければ麻薬・向精神薬・新薬かを見る」です。30日分・90日分の欄は成分名で個別に列挙され、14日分の欄は「麻薬」「向精神薬」「新医薬品」という区分で書かれ、個別の欄に載っていないものが残りとして14日分に入る構造になっています。

処方日数制限の根拠は療担規則第20条と掲示事項等告示(平成18年厚生労働省告示第107号)第10

処方日数制限の出どころは2段になっています。

段 規定 書いてあること
省令 保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)第20条第2号ヘ 投薬量は予見することができる必要期間に従ったものとし、厚生労働大臣が定める内服薬・外用薬は1回14日分・30日分・90日分を限度とする
告示 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号)第10の2「投薬期間に上限が設けられている医薬品」 14日分・30日分・90日分のそれぞれに当たる薬の区分と成分名

インターネットで「処方日数制限 一覧 厚生労働省」と探すと、病院の薬剤部や薬局がまとめた一覧が多く出てきます。それらは告示をもとに自院の採用薬へ置き換えたものです。成分の追加は中央社会保険医療協議会(中医協)で決まり、告示の改正で反映されます。自院のマスタを直すときは、告示の改正と中医協の資料を元に確かめると、取り違えがありません。

上限は保険診療のルールです。自費診療の処方には、この告示の上限はかかりません。

麻薬の処方日数制限|30日分の成分と14日分になるもの

麻薬は原則14日分で、告示の30日分の欄に載っている成分だけが30日分まで出せます。

剤形 30日分まで出せる麻薬の成分
内服薬 オキシコドン塩酸塩(水和物を含む)、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、タペンタドール、ヒドロモルフォン、モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩
外用薬 フェンタニル、フェンタニルクエン酸塩、モルヒネ塩酸塩
注射薬 フェンタニルクエン酸塩、モルヒネ塩酸塩

がん疼痛で在宅療養中の患者に出す主な麻薬は、ほとんどが30日分の欄に入っています。それでも、新しく発売された麻薬の製剤は、成分が30日分の欄にあっても新医薬品の14日ルールが先にかかることがあります。新しい製剤を採用したときは、次の「新薬」の節もあわせて確かめてください。

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向精神薬の処方日数制限|第1種〜第3種の区分と日数は別物

向精神薬は「第1種」「第2種」「第3種」に分かれています。この種別は麻薬及び向精神薬取締法による区分で、保管・記録・譲渡の管理の決まりに使うものです。処方日数の上限は告示が成分ごとに決めており、種別とは対応していません。

種別 成分の例 処方日数の上限
第1種 メチルフェニデート塩酸塩、モダフィニル 30日分
第2種 フルニトラゼパム 30日分
第2種 ペンタゾシン 14日分
第3種 エチゾラム、ゾルピデム酒石酸塩、トリアゾラム 30日分
第3種 ジアゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパム(いずれも内服) 90日分
第3種 マジンドール 14日分

「第3種だから90日」「第2種だから14日」と覚えると間違えます。見るのは、成分名が告示の30日分・90日分の欄にあるかどうかです。

同じ成分でも、内服と坐剤・貼付剤で上限が変わる

告示の90日分の欄は「内服薬」に限られています。そのため、ジアゼパムやフェノバルビタールでも、坐剤は90日分の欄に入らず、向精神薬の原則どおり14日分になります。ブプレノルフィンも、30日分の欄にあるのは注射薬だけで、貼付剤は14日分です。

小児のてんかんで内服と坐剤を一緒に出す処方では、内服を90日分にしたまま坐剤も同じ日数にしてしまうことがあります。剤形ごとに上限を確かめてください。

睡眠薬の処方日数制限|30日の薬と上限のない薬の境界

「睡眠薬は30日まで」と言われることがありますが、すべての睡眠薬に上限があるわけではありません。睡眠薬の上限は、その薬が向精神薬かどうか、新医薬品の期間中かどうかで分かれます。

睡眠薬のタイプ 上限 判定のしかた
向精神薬で、告示の30日分の欄にある(ゾルピデム、トリアゾラム、ブロチゾラム、フルニトラゼパム、ゾピクロンなど) 30日分 成分名が30日分の欄にある
向精神薬で、告示の90日分の欄にある(ニトラゼパムなど) 90日分 成分名が90日分の欄にある
向精神薬だが、30日分・90日分の欄のどちらにも無い 14日分 向精神薬の原則
向精神薬に指定されていない(オレキシン受容体拮抗薬のスボレキサントなど) 上限なし(発売1年以内は14日分) 麻薬・向精神薬ではなく、新医薬品の期間も過ぎている

ある睡眠薬が向精神薬に当たるかは、添付文書の「規制区分」欄で確かめられます。規制区分に「向精神薬」とあり、成分名が告示の30日分・90日分の欄に無ければ14日分、規制区分に向精神薬の記載が無く、発売から1年を過ぎていれば上限はありません。

新薬(新医薬品)の処方日数制限|14日ルールの解除日の数え方

新医薬品は、薬価基準に収載された日の属する月の翌月1日から数えて1年を経過するまで、原則1回14日分が上限です。

薬価収載日 14日分の上限がかかる期間 長期処方ができるようになる日
2025年11月12日 2025年11月12日〜2026年11月30日 2026年12月1日
2026年5月20日 2026年5月20日〜2027年5月31日 2027年6月1日
2026年8月の収載分 2026年8月の収載日〜2027年8月31日 2027年9月1日

起算日は収載日ではなく翌月の1日です。収載された月の残りの日数は、1年に数えません。そのため、上限がかかる期間は1年より少し長くなります。

新薬でも14日ルールがかからないものがある

告示は、新医薬品のうち厚生労働大臣が指定するものを14日ルールから外したり、別の期間を定めたりできる書き方になっています。すでに長く使われている成分の配合剤や剤形の追加などで、例外として指定されることがあります。例外かどうかは、薬価収載時の通知や中医協の資料に書かれます。

自院で新薬を採用したら、電子カルテやレセコンの薬剤マスタに「14日上限」と「解除日」を入れておくと、処方入力の時点で日数の誤りに気づけます。解除日が来たら、マスタの上限を外し忘れないようにします。

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14日制限の例外|海外渡航・年末年始などの特殊の事情で認められる範囲

14日分が上限の薬(麻薬・向精神薬・新医薬品)には、例外があります。長期の旅行など特殊の事情があり、必要と認められるときは、必要最小限の範囲で14日を超えて投与できます。その場合は、院外処方なら処方箋の備考欄に、レセプトでは摘要欄に、その理由を書きます(処方箋の備考欄に理由を書くことは、「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)の処方箋の記載上の注意事項に定めがあります)。

事情 14日を超えられるか 補足
海外渡航 認められる扱いが一般的 1回30日分までとする運用が広く示されている
年末年始・大型連休 認められる扱いが一般的 同上
国内旅行・帰省・お盆休み 認めない運用の医療機関・薬局が多い 迷うときは審査支払機関の地域の取扱いを確かめる
患者が通院を減らしたい 認められない 特殊の事情に当たらない

30日分・90日分が上限の薬には、このような例外がありません。事情があっても上限は超えられないので、受診の回数を増やすか、処方の日をずらして対応します。

例外を使うときに書くコメントコードと、薬局の調剤報酬明細書との対応は、「処方日数が90日以上のとき、レセプトにコメントは要る?」で紹介しています。

処方日数制限で査定・疑義照会を出さないための確認

処方入力とレセプト点検で見るところを、チェックリストにまとめます。

  • [ ] 上限のある薬だけ、定期処方の日数と分けて入力している(降圧薬と同じ56日分にまとめていない)
  • [ ] 内服で90日分の薬を、坐剤など別の剤形でも同じ日数にしていない
  • [ ] 発売1年以内の新薬に、14日を超える日数を入れていない
  • [ ] 新薬の解除日を過ぎた薬で、マスタの上限が外れている
  • [ ] 14日を超える例外を使ったとき、処方箋の備考欄とレセプトの摘要欄の両方に理由がある
  • [ ] 麻薬・向精神薬の長期処方で、他院での重複処方や残薬を確かめた記録がカルテにある

よくある質問

処方日数制限は1日あたりの量にも関係しますか

告示の上限は「1回の処方で何日分まで出せるか」です。1日あたりの量の上限は、それぞれの薬の添付文書の用法・用量で決まります。湿布のように1処方の枚数で上限が決まっている薬は、別のルールです(「湿布の枚数制限は1処方何枚まで?」)。

頓服で出す場合も日数制限は気にしたほうがよいですか

頓服は日数ではなく回数で処方しますが、上限のある薬をまとめて多く出すと、審査で上限を超えた投与と見られることがあります。告示は頓服の回数の数え方を定めていないので、眠前の頓用として30回分を出すような処方は、その薬の上限日数を目安にし、迷うときは審査支払機関の地域の取扱いを確かめてください。

上限30日の薬を、2週間ごとに受診させて15日分ずつ出すのは問題ありますか

1回の処方が上限以内であれば問題ありません。上限は1回あたりの日数です。ただし、前回の処方がまだ残っている時期に重ねて処方していないかは、カルテに残量を確かめた記録を残しておくと安全です。

リフィル処方箋で上限のある薬を出せますか

麻薬・向精神薬・新医薬品など投薬量に限度が定められている薬は、リフィル処方箋の対象外です。対象になる薬の考え方は「リフィル処方箋とは?」で整理しています。

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まとめ

  • 処方日数の上限は、療担規則第20条と掲示事項等告示(平成18年厚生労働省告示第107号)第10で決まり、1回14日分・30日分・90日分の3段階
  • 30日分・90日分の欄は成分名で列挙され、載っていない麻薬・向精神薬と、発売1年以内の新薬が14日分になる
  • 向精神薬の第1種〜第3種と、処方日数の上限は対応していない
  • 90日分の欄は内服薬だけで、同じ成分の坐剤は14日分になる
  • 新薬の14日ルールは、薬価収載の翌月1日から数えて1年で外れる
  • 14日分の薬だけに、海外渡航などの特殊の事情による例外がある

上限のある薬は、薬剤マスタに上限日数と新薬の解除日を入れておくと、処方入力の段階で止められます。

参考

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提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、