紹介状を書いて診療情報提供料(Ⅰ)を算定した月は、レセプトの摘要欄に紹介先の名称を書きます。記載要領の別表Ⅰは、診療情報提供料(Ⅰ)の記載事項を「算定日」と「情報提供先」と定めていて、令和8年度改定からは保険医療機関への紹介も含めて、すべての提供先が対象です。
点数を入れただけで情報提供先が空欄だと、どこに紹介したのかが審査側に伝わりません。紹介先ごとに月1回という算定の数え方とも関わるので、名称の書き方は毎回そろえておきたいところです。
この記事は、紹介状を出すことの多い診療所の医療事務の方と、算定を確認する院長に向けたものです。情報提供先の書き方とコメントコード、同じ月に複数の紹介先がある場合、加算を算定するときに足すコメント、似た名前の項目で書くことの違いを扱います。算定要件の全体は診療情報提供料の算定要件は?で、令和8年度改定で変わった連携強化診療情報提供料は連携強化診療情報提供料の算定要件で扱っています。
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診療情報提供料(Ⅰ)のレセプトに書くのは「算定日」と「情報提供先」
記載要領(令和8年3月27日保医発0327第2号)の別表Ⅰ(医科)は、診療情報提供料(Ⅰ)について次の2つを求めています。
| 記載事項 | 電子レセプトでの記録 |
|---|---|
| 算定日 | 算定日情報として記録する(コメントコードではなく、算定した日の情報) |
| 情報提供先 | コメントコード830100080「情報提供先(診療情報提供料(1))」を選び、名称を入力する |
830100080は文字を入力する型のコードです。コードを選ぶと、レセプト上では「情報提供先(診療情報提供料(1));」のあとに入力した名称が続く形で表示されます。
紙レセプトの場合は、「医学管理」欄に略号と点数を書き、摘要欄に情報提供先の名称を書きます。略号は記載要領の別表Ⅴで、診療情報提供料(Ⅰ)は「情Ⅰ」、注8の加算は「情Ⅰ退」、療養情報提供加算は「情療養」のように加算ごとに決まっています。点数は、加算を算定する場合は加算を合算した点数を書きます。
令和8年度改定で保険医療機関への紹介も情報提供先を書くことに
令和8年度改定の記載要領で、診療情報提供料(Ⅰ)は、保険医療機関を含むすべての情報提供先を摘要欄に書くことになりました。病院やクリニックへの紹介状も、市町村や学校への情報提供と同じく、提供先の名称を書く対象です。
ただし、厚生労働省の疑義解釈(その10、2026年7月17日事務連絡)は、医事会計システムが対応していないなどの理由で情報提供先の記載がない場合について、次のように答えています。
- 情報提供先は摘要欄への記載が望ましい
- 記載がなくても、算定要件を満たしていれば診療情報提供料(Ⅰ)は算定できる
- 算定には、紹介先の医療機関等が特定されていること、交付した文書の写しを診療録に添付することなどの要件がある
記載がないと算定できなくなるわけではありません。それでも、記載要領が求めている以上、レセコンが対応しているなら入れるのが基本です。対応していない場合は、ベンダーにいつ対応するかを確かめておきます。
診療情報提供料の情報提供先に書く医療機関名の記載例
別表Ⅰが求めているのは「情報提供先」で、診療科名や医師名までは定めていません。審査側が紹介先を特定できる名称を書くのが基本です。
| 紹介先 | 記載例 |
|---|---|
| 病院 | ○○市立病院 |
| 診療所 | 医療法人○○会 ○○皮膚科クリニック |
| 同じ病院の別の診療科に紹介するとき | ○○大学病院(診療科名を添えると読み取りやすい) |
| 市町村・地域包括支援センター(注2) | ○○市役所 高齢福祉課、○○地域包括支援センター |
| 保険薬局(注3、訪問薬剤管理指導の依頼) | ○○薬局 ○○店 |
| 介護老人保健施設・介護医療院(注5) | 介護老人保健施設○○ |
| 保育所・学校(注7) | ○○市立○○小学校 |
名称は略さずに書くのが安全です。「市民病院」「中央病院」のような略称は、同じ名前の医療機関が複数ある地域では紹介先を特定できません。
診療科名は記載事項ではありませんが、同じ病院に別の診療科として紹介する場合など、読み手が区別しやすくなるときは添えておくとよいでしょう。
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同じ月に2か所へ紹介したときの診療情報提供料とレセプトの書き方
診療情報提供料(Ⅰ)は、別の保険医療機関への紹介(注1)なら「紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り」算定します。同じ月に別々の医療機関へ紹介した場合は、紹介先ごとに算定でき、情報提供先のコメントも紹介先ごとに入れます。
| 同じ月の紹介 | 算定 | レセプトに書くこと |
|---|---|---|
| A病院とBクリニックに1通ずつ | 紹介先ごとに1回ずつ、計2回 | 830100080を2つ入れ、A病院とBクリニックをそれぞれ書く |
| A病院に2回(同じ月に追加の情報を送った) | 1回 | 830100080でA病院を1回書く |
| A病院への紹介(注1)と、市町村への情報提供(注2) | 注ごとの要件を満たすかを確かめて算定 | 算定するそれぞれについて提供先を書く |
注2から注7までの情報提供(市町村、保険薬局、介護老人保健施設、学校など)は、「患者1人につき月1回に限り」という数え方です。紹介先ごとに数える注1とは違うので、同じ月に複数の提供先がある場合は、どの注で算定しているかを確かめてから回数を入れます。
診療情報提供料(Ⅰ)の加算を算定するときに足すレセプトコメント
加算によっては、情報提供先とは別に記載事項があります。
| 加算 | 足す記載事項 | コメントコード |
|---|---|---|
| 注8の加算(退院月・翌月に、検査結果や画像情報などを添付して紹介) | 退院年月日 | 850100087 |
| 検査・画像情報提供加算のイ(退院する患者) | 退院年月日 | 850100088 |
| 療養情報提供加算(訪問看護ステーションから得た情報を添付) | 情報を得た訪問看護ステーション名 | 830100081 |
注8の加算と検査・画像情報提供加算は、主に入院医療を担う医療機関が退院患者を紹介する場面の加算です。診療所で関わりやすいのは療養情報提供加算で、訪問看護を受けている患者を入院・入所先へ紹介するときに使います。この場合、紹介先の名称(830100080)と訪問看護ステーション名(830100081)の2つを書くことになります。
ほかの加算(認知症専門医療機関紹介加算、精神科医連携加算、歯科医療機関連携加算など)には、別表Ⅰ上の追加の記載事項はありません。情報提供先の記載は、どの加算を算定する場合も必要です。
紹介状のやり取りを電子で完結させる
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似た名前の診療情報提供料でレセプトに書くことの早見表
名前が似ていても、書くことは項目ごとに違います。
| 項目 | 点数 | 別表Ⅰの記載事項 |
|---|---|---|
| 診療情報提供料(Ⅰ)(B009) | 250点 | 算定日、情報提供先(830100080) |
| 診療情報提供料(Ⅱ)(B010、セカンドオピニオンのための情報提供) | ― | 算定日のみ |
| 診療情報連携共有料(B010-2) | 120点 | 連携先の保険医療機関名(830100082) |
| 連携強化診療情報提供料(B011) | ― | 産科・産婦人科を標榜する医療機関等との連携の場合と注5の場合は前回算定年月(初回はその旨)。妊婦の場合は妊娠中である旨。それ以外の注では別表Ⅰ上の記載事項なし |
| 電子的診療情報評価料(B009-2) | 30点 | 別表Ⅰ上の記載事項なし |
診療情報提供料(Ⅱ)は、患者が別の医療機関でセカンドオピニオンを受けるための情報提供です。別表Ⅰは算定日だけを求めていて、提供先の名称は記載事項になっていません。
連携強化診療情報提供料は、紹介先の名称を書く項目ではありません。産科・産婦人科を標榜する医療機関等と連携した場合と、注5(注1から注4までのいずれにも該当しない場合)で算定した場合は、前回算定年月(初回ならその旨)を書きます。どの注で算定したかで書くことが変わるので、算定のたびに注を確かめます。
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診療情報提供料の医療機関名を入れ忘れない仕組み
情報提供先の名称は、紹介状を書いた時点で決まっています。レセプトの段階で紹介状の控えを探して転記すると手間がかかり、書き忘れも起きます。
- 電子カルテの文書作成機能で紹介状を作ったときに、紹介先の名称がレセプトのコメントへ引き継がれるかを確かめる
- 引き継がれない場合は、紹介状を作った日の会計時に830100080を入れる流れにする
- よく紹介する医療機関は、正式名称を院内の一覧にしておき、略称で入力しない
紹介状の写しは診療録に添付することが留意事項通知で求められています。レセプトの情報提供先と、診療録に添付した写しの宛先が一致しているかを、月末の点検で見ておくと安心です。
よくある質問
紹介先が決まっていない紹介状(宛先なし)でも診療情報提供料(Ⅰ)は算定できますか
留意事項通知は、紹介に当たっては事前に紹介先の機関と調整したうえで、文書を交付するとしています。紹介先が決まっていない文書では、レセプトの情報提供先も書けません。宛先を決めてから算定します。
紹介先の医療機関名が長い場合、省略して書いてもよいですか
記載要領に字数の決まりはありませんが、審査側が紹介先を特定できることが前提です。法人名を省くことはあっても、医療機関名そのものは略さずに書くのが安全です。
同じ月に同じ医療機関の別の診療科へ2通紹介した場合は
注1の「紹介先保険医療機関ごとに月1回」は、医療機関単位の数え方です。同じ医療機関の別の診療科への紹介を別々に算定できるかは、留意事項通知の個別の取扱いと審査支払機関の判断を確かめてください。
まとめ
診療情報提供料(Ⅰ)のレセプトには、算定日と情報提供先を書きます。令和8年度改定からは保険医療機関への紹介も対象で、記載がなくても算定はできるものの、記載するのが基本です。電子レセプトでは830100080を選んで紹介先の名称を入れ、同じ月に別の医療機関へ紹介したときは紹介先ごとに入れます。療養情報提供加算では訪問看護ステーション名も足します。連携強化診療情報提供料は前回算定年月、診療情報提供料(Ⅱ)は算定日だけと、似た名前でも書くことが違う点を押さえておきます。
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参考
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)」医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」(令和8年3月5日保医発0305第6号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
- 厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日保医発0327第2号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757373.pdf
- 厚生労働省 同 別表Ⅰ(医科、7月30日訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732129.xlsx
- 厚生労働省 同 別表Ⅴ(略号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757374.xlsx
- 厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その10)」(令和8年7月17日事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001725624.pdf
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2026年10月時点の情報を元に作成しています。
