エンシュアを外来で処方するときのレセプトコメント|令和8年度改定で必要になった3つの記載と、コメントコードの選び方

エンシュアなどの経腸栄養剤を外来で処方するとき、2026年6月からはレセプトにコメントを入れないと、薬剤料や処方箋料が算定できなくなりました。令和8年度診療報酬改定で、投薬の「通則6」として新しく設けられたルールです。

入れるコメントは、患者が次のどれに当たるかで決まります。

  • 手術後の患者
  • 経管で栄養補給をしている患者
  • それ以外で、医師が投与を必要と判断した患者

この記事では、外来で経腸栄養剤を処方している診療所の医師と医療事務の方に向けて、どの患者にどのコメントコードを使うか、処方箋には何を書くか、記載できないときにどうなるかを整理します。内容は厚生労働省の告示・留意事項通知・記載要領(2026年7月30日訂正後の別表Ⅰ)で確かめています。

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目次
  1. エンシュアのレセプトコメントが必要になったのは令和8年度改定から
  2. 対象になる経腸栄養剤(医薬品)は6品目
  3. 患者の区分ごとに使うレセプトコメントコード
    1. 手術後の患者は「手術年月日」を入れる
    2. 経管栄養の患者は「直近の造設・交換の日」を入れる
    3. それ以外の患者は「必要と判断した理由」を文章で書く
  4. 処方箋にも同じ内容を書く
  5. コメントを書けない患者に処方するとどうなるか
  6. 電子カルテでエンシュアのコメントを入れ忘れない設定
  7. よくある質問
    1. 改定前から何年も処方している患者にも、毎回コメントが要りますか
    2. 手術から何年たっていても「手術後の患者」として扱えますか
    3. 在宅で経管栄養をしている患者に、在宅成分栄養経管栄養法指導管理料の薬剤として出す場合も同じですか
    4. コメントは処方箋とレセプトのどちらか一方でよいですか
  8. まとめ
  9. 参考

エンシュアのレセプトコメントが必要になったのは令和8年度改定から

2026年6月1日施行の令和8年度改定で、医科点数表の「第5部 投薬」に通則6が新設されました。内容は次のとおりです。

  • 入院中の患者以外に、栄養保持を目的とした医薬品を投薬した場合は、調剤料(F000)、処方料(F100)、薬剤(F200)、処方箋料(F400)、調剤技術基本料(F500)を算定しない
  • ただし、手術後の患者・経管で栄養補給をしている患者は「その旨」を、医師が投与を必要と判断した患者は「その理由」を、処方箋と診療報酬明細書に書けば算定できる

つまり、コメントは「付けたほうが査定されにくい」ものではなく、算定の条件そのものです。書かなければ、審査で通らない以前に、点数表上は算定できない扱いになります。

改定前から長く処方を続けている患者も例外ではありません。6月以降に処方した分は、すべてこのルールで請求します。

対象になる経腸栄養剤(医薬品)は6品目

通則6の「栄養保持を目的とした医薬品」は、留意事項通知で次のように定義されています。

  • 薬効分類が「たん白アミノ酸製剤」
  • 効能・効果が「一般に、手術後患者の栄養保持」
  • 用法・用量に「経口投与」が含まれる

具体的な品目は、疑義解釈(その4、2026年4月21日)で次の6つと示されています。

対象の品目(令和8年3月時点)
イノラス配合経腸用液
エネーボ配合経腸用液
エンシュア・H
エンシュア・リキッド
ツインラインNF配合経腸用液
ラコールNF配合経腸用液

薬価収載された医薬品が対象で、食品として売られている栄養補助食品は関係ありません。また、退院時処方は入院患者への投薬として扱うため、通則6の対象外です(疑義解釈その11、2026年7月30日)。

患者の区分ごとに使うレセプトコメントコード

記載要領の別表Ⅰ(医科)では、項番396「F200 薬剤等〈入院外分〉/F400 処方箋料」の欄に、次の3つのコードが追加されています。どれも別表Ⅰで「令和8年6月1日適用」の印が付いたコードです。記載要領の経過措置で、この印のコードは令和8年10月診療分以降に選択すればよいとされていました。10月診療分からは、このコードで記録します。

患者の区分 記載すること コメントコード レセプトの表示文言
手術後の患者 手術年月日 850100514 手術年月日(薬剤料・処方箋料)
経管で栄養補給をしている患者 直近の食道瘻・胃瘻・腸瘻の造設またはカテーテル交換、または経鼻栄養・薬剤投与用チューブ挿入術の実施年月日 850100515 直近の食道瘻の造設若しくはカテーテル交換、…の実施年月日(薬剤料・処方箋料)
上の2つ以外で、医師が投与を必要と判断した患者 投与が必要と判断した趣旨 830100949 栄養保持を目的とした医薬品を投与した理由(薬剤料・処方箋料)

850で始まる2つは年月日を入れるコード、830100949は文章を入れるコードです。院内処方なら薬剤料の行に、院外処方なら処方箋料の行に付けます。

手術後の患者は「手術年月日」を入れる

「手術後の患者である旨」は、文章ではなく手術年月日で示します。他院で手術を受けた患者は、紹介状や退院時サマリーで手術日を確かめてから入れてください。日付が分からないまま空欄や推測で入れると、返戻のもとになります。

経管栄養の患者は「直近の造設・交換の日」を入れる

胃瘻や経鼻チューブで栄養を入れている患者は、直近の造設日またはカテーテル交換日(経鼻なら挿入した日)を入れます。カテーテルを交換するたびに日付が変わるので、前月のコメントをそのまま複写しないようにします。交換を他院や訪問診療先で行っている場合は、交換日を共有してもらう段取りを先に決めておくと、毎月の請求で迷いません。

それ以外の患者は「必要と判断した理由」を文章で書く

手術後でも経管栄養でもない患者に処方するときは、830100949で理由を書きます。通則6が想定しているのは「必要な栄養を食事により摂取することが困難な患者である場合その他これに準ずる場合」です。

理由は、次の2点が読み取れるように書くと、審査側にも伝わります。

  1. どんな状態か(嚥下機能の低下、食欲不振の持続、体重の減少など、カルテに記録のある所見)
  2. なぜ通常の食事では足りないのか

たとえば「嚥下機能の低下により、通常の食事では必要な栄養量を摂取できないため」のような書き方です。「栄養補給のため」「本人希望」のように、食事で代替できない事情が読み取れない書き方は避けてください。書いた理由はカルテの記録と合っている必要があります。

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処方箋にも同じ内容を書く

通則6は、レセプトだけでなく処方箋への記載も求めています。院外処方では、処方箋に記載がないと、薬局は疑義照会で確かめることになります。

薬局側の別表Ⅰ(調剤)にも、「処方箋記載により確認」(820101929)と「疑義照会により確認」(820101930)の2つのコードが用意されています。処方箋に区分と理由が書いてあれば、薬局からの問い合わせはほぼ要らなくなります。

紙の処方箋では「備考」欄に書きます(処方箋の記載要領「備考」欄の(12))。電子処方箋では、医薬品ごとのコメントとして入れる運用をしている医療機関もあります。どこに入れるかは、使っている電子カルテと処方箋の様式で確かめてください。

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算定や記録の抜け漏れは、カルテ側で必要な情報が見えるかどうかで変わります。選ぶときに何を見ればよいかを整理した資料です。

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コメントを書けない患者に処方するとどうなるか

3つの区分のどれにも当てはまらない、または理由を書けない場合は、通則6の本文どおり、調剤料・処方料・薬剤料・処方箋料・調剤技術基本料が算定できません。告示の文言は、薬剤料だけでなく処方料と処方箋料まで含めた書き方になっています。同じ日に他の薬も処方している場合の扱いが気になるときは、審査支払機関や地方厚生局に確かめてから運用を決めてください。

判断の目安をまとめると次のようになります。

患者の状況 対応
手術後で、手術日が分かる 850100514で手術年月日を入れて処方する
胃瘻・腸瘻・経鼻チューブで栄養補給している 850100515で直近の造設・交換・挿入日を入れて処方する
食事で必要な栄養を取れない事情が、カルテの所見で説明できる 830100949で理由を書いて処方する
食事は取れているが、補助として飲みたいという希望 医薬品としての処方の対象にならない。食品の栄養補助飲料を案内する
退院時処方 入院患者への投薬として扱うので通則6の対象外

「食事は取れているが補助として」という患者への処方は、今回の見直しで保険給付から外す対象として想定されているケースです。続けて処方したい場合は、医師がもう一度患者の状態を診て、食事で代替できない事情があるかを判断することになります。

電子カルテでエンシュアのコメントを入れ忘れない設定

毎月同じ患者に処方するものなので、入れ忘れは仕組みで防ぐのが確実です。

  • 対象の6品目を処方したときに、コメントの入力を促す設定(薬剤に紐づくコメントの必須化やセット登録)にする
  • 経管栄養の患者は、カテーテル交換日をカルテのどこに記録するかを決め、請求前にそこを見る
  • 830100949の理由は、医師が診察時にカルテに書いた文言を事務が転記する流れにする。事務が理由を作文しない

レセコンにORCAを使っている場合も、コメントコードの入力自体はふだんの摘要欄コメントと同じ操作です。

外来の薬剤では、OTC類似薬の保険給付の見直しも2027年3月から予定されています。全体像は「OTC類似薬とは?2027年3月施行の保険給付見直しと、クリニックが今から備えるべき実務」、改定全体でクリニックが対応することは「令和8年度診療報酬改定をわかりやすく。クリニックが今やること」にまとめています。

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よくある質問

改定前から何年も処方している患者にも、毎回コメントが要りますか

要ります。2026年6月以降に処方した分は、すべて通則6の対象です。処方した月のレセプトごとにコメントを入れます。

手術から何年たっていても「手術後の患者」として扱えますか

通則6と記載要領には、手術からの期間の定めは書かれていません。手術年月日を入れることで、審査側がその期間も含めて判断することになります。手術から長期間たっている場合は、今も栄養保持が必要な状態かをカルテで説明できるようにしておくのが安全です。

在宅で経管栄養をしている患者に、在宅成分栄養経管栄養法指導管理料の薬剤として出す場合も同じですか

在宅経管栄養法の指導管理料で薬剤を支給する場合は、別表Ⅰで別の記載事項(薬剤の総点数・薬剤名・支給量など)が定められています。どの算定項目で出しているかを先に確かめ、その項目の記載事項に従ってください。

コメントは処方箋とレセプトのどちらか一方でよいですか

両方に必要です。通則6は「処方箋及び診療報酬明細書に記載する」としています。

まとめ

  • 2026年6月から、外来でエンシュアなど6品目を処方するときは、レセプトと処方箋への記載が算定の条件になった
  • 手術後は手術年月日(850100514)、経管栄養は直近の造設・交換日(850100515)、それ以外は投与が必要と判断した理由(830100949)
  • 記載できない処方は、薬剤料だけでなく処方料・処方箋料も算定しない扱い
  • 理由は医師がカルテに書いた所見から転記し、電子カルテ側で入れ忘れを防ぐ

参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 Ⅳ-4-3 栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の適正化」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001696833.pdf
  • 厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日保医発0327第2号、7月30日訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732127.pdf
  • 厚生労働省 同 別表Ⅰ(7月30日訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732129.xlsx
  • 厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その4)」(令和8年4月21日事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001694332.pdf
  • 厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その11)」(令和8年7月30日事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001731253.pdf
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提供形態

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診療科目

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