レセプトの摘要欄はどこ?紙の明細書での位置、電子レセプトでの記録先、コメントコードの選び方

レセプトの摘要欄は、紙の診療報酬明細書では下半分の右側、点数欄の隣にある広い欄です。左の点数欄に書いた項目の内訳や、算定の根拠になる情報をここに書きます。

ただ、いまの請求はほとんどが電子レセプトで、摘要欄は「欄」ではなく「コメントレコード」として記録されます。紙のどこに書くかよりも、何をどのコードで入れるかのほうが返戻に直結します。

この記事では、入職したばかりの医療事務の方や、レセプト点検を任された方に向けて、摘要欄の場所、電子レセプトでの記録先、書くもの・書かないものの分け方、コメントコードの選び方を順に整理します。内容は厚生労働省の「診療報酬請求書等の記載要領」(令和8年度改定後)と、審査支払機関の電子レセプト作成手引きで確かめたものです。

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目次
  1. レセプトの摘要欄はどこにあるか:紙の明細書での位置
    1. 摘要欄の左端の番号は、点数欄の区分番号と対応している
    2. 傷病名が4つ以上あるときも摘要欄を使う
  2. 電子レセプトの摘要欄はどこに記録されるか:COレコードと診療識別
    1. 症状詳記は摘要欄とは別のレコード
    2. 摘要欄に自動で出る内容もある
  3. 摘要欄に書くもの・書かないもの
  4. 摘要欄のコメントコードの選び方:別表Ⅰから引く手順
    1. 手順1:算定した項目で別表Ⅰを引く
    2. 手順2:記載事項の条件に当てはまるかを読む
    3. 手順3:コードの頭3桁で、入れる情報の形を確かめる
    4. 手順4:「令和8年6月1日適用」の印を確かめる
  5. 摘要欄の入力はレセコン・電子カルテのどこから行うか
  6. 摘要欄の入れ忘れを提出前に見つける点検
  7. よくある質問
    1. 摘要欄に書ききれないときはどうしますか
    2. 摘要欄の記載例はどこで見られますか
  8. まとめ
  9. 参考

レセプトの摘要欄はどこにあるか:紙の明細書での位置

クリニックの外来で使う明細書は、記載要領の「診療報酬請求書等一覧表」で「様式第2(2)」(医科・入院外)と決められています。入院は「様式第2(1)」です。

入院外の明細書は、おおまかに次の配置になっています。

位置 欄 書くこと
上部 保険者番号・公費・氏名・特記事項など 患者と保険の情報
中段の左 傷病名・診療開始日・転帰 病名と開始日
下半分の左 点数欄(初診・再診・医学管理…) 区分ごとの回数と点数
下半分の右 摘要欄 点数欄の内訳、算定の根拠、補足

摘要欄の左端の番号は、点数欄の区分番号と対応している

摘要欄に内訳を書くときは、どの点数欄の内訳なのかが分かるように書きます。記載要領では、診療項目名の代わりに番号を使ってよく、その場合は摘要欄の左側の点線内に番号を書くとしています。

使う番号は、点数欄に印字されている区分の番号です。電子レセプトの「診療識別コード」と同じ番号なので、ここで覚えておくと後の作業が楽になります。

番号 区分 番号 区分
11 初診 31〜33 注射(皮下筋肉内・静脈内・その他)
12 再診 40 処置
13 医学管理 50 手術(電子レセプトでは麻酔は54)
14 在宅 60 検査・病理
21〜27 投薬(内服・屯服・外用・処方・麻毒・調基など) 70 画像診断
80 その他

傷病名が4つ以上あるときも摘要欄を使う

傷病名が4つ以上あるときは、まず傷病名欄の余白に番号を付けて書きます。それでも書ききれない病名は、摘要欄に番号を付けて順に書き、最終行の下に実線を引いて他の記載と分けます。電子レセプトでは、傷病名欄から溢れた病名は摘要欄に自動で表示されるので、手で書き足す必要はありません。

電子レセプトの摘要欄はどこに記録されるか:COレコードと診療識別

電子レセプトでは、摘要欄に出る文字の多くは「コメントレコード」(レコード識別情報「CO」)として記録されます。1件のコメントレコードには、次の4つを入れます。

項目 内容
診療識別 どの区分のコメントか(上の表の番号。全体に係るものは99)
負担区分 対象の診療行為を負担する保険(医保単独なら1)
コメントコード 9桁。先頭は必ず8
文字データ コードのパターンに応じて入れる文字や数字

たとえば審査支払機関の手引きにある例では、検査の欄に「術前検査」と書く場合、CO,60,1,810000001,術前検査 と記録され、レセプトでは検査の内訳の行に「術前検査」と表示されます。紙で「60」の番号の横に書いていたものが、電子では診療識別「60」として記録される、という対応です。

症状詳記は摘要欄とは別のレコード

コメントで書ききれない経過や、医師が説明する症状は「症状詳記レコード」(「SJ」)に入れます。症状詳記区分は「01 主たる疾患の診断根拠となった臨床症状」「03 主な治療行為の必要性」「07 その他」などがあり、1区分あたり全角1,200文字を超える場合はレコードを分けて記録します。

コメントは事務が算定ごとに入れるもの、症状詳記は医師が書いた説明を載せるもの、と分けて考えると迷いません。

摘要欄に自動で出る内容もある

電子レセプトでは、次の内容は医療機関が個別に書かなくても摘要欄に表示されます。

  • 傷病名欄から溢れた傷病名と診療開始日
  • 第3公費以降の資格情報と合計点数
  • 振替保険者番号
  • 診療行為の情報から自動で設定される内容

摘要欄に書くもの・書かないもの

摘要欄に書くのは、大きく分けて4種類です。

  1. 点数欄に書ききれない診療行為の名称・回数・点数(内訳)
  2. 記載要領の別表Ⅰ〜Ⅳで「摘要欄に記載すること」とされている事項
  3. 傷病名欄から溢れた病名(紙レセプトの場合)
  4. 記載要領で個別に指定された事項(要介護者に介護保険相当のサービスを行ったときの「介」、月の途中で保険が変わったときの変更の旨など)

迷いやすいのは、書かなくてよいものです。

書きたくなるもの 判断
別表Ⅰで「紙レセのみ記載」に○が付いている事項 電子レセプトではコメント不要。診療行為コードを入れれば自動で表示される
別表Ⅰにコードがある事項を、自由文(810000001)で書く 書かない。該当するコードを選ぶ
審査側への連絡やお願い 書かない。算定の根拠でなければ摘要欄の役目ではない
医師の長い説明 コメントではなく症状詳記へ
病名から明らかな投与理由 別表Ⅰの記載事項に「病名で判断できる場合はこの限りでない」とあるものは不要

別表Ⅰの欄外には、「紙レセのみ記載」の○の事項は、電子請求ではコードを記録すれば必然的に記載される内容になるので、別途コメントとしての記載は不要と明記されています。同じ内容を二重に書くと、点検のたびに目で見比べる手間だけが増えます。

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摘要欄のコメントコードの選び方:別表Ⅰから引く手順

電子レセプトでは、別表Ⅰ〜Ⅳの「レセプト電算処理システム用コード」欄にコードがある項目は、そのコードを選ぶことになっています。自由文で書いてよいのは、該当するコードが無いときです。

手順1:算定した項目で別表Ⅰを引く

別表Ⅰ(医科)は、区分番号と診療行為の名称の順に並んでいます。令和8年度版のExcelでは612項目、記録できるコメント関係のコードは2,000件を超えます。算定した項目の区分番号(A000、B001など)で検索するのが早いです。

手順2:記載事項の条件に当てはまるかを読む

同じ項目の中に、条件ごとに複数の記載事項が並んでいます。たとえば初診料(A000)では、前月の初診に附随する検査結果の説明などで後日来院した場合に、来院の理由を「ア」「イ」「ウ」から選ぶ形になっています。自院の算定がどの条件に当たるかを先に決めます。

手順3:コードの頭3桁で、入れる情報の形を確かめる

コメントコードは「区分1桁+パターン2桁+番号6桁」の9桁で、頭の3桁を見ると何を入れるコードかが分かります。

頭3桁 パターン 入れるもの 例(別表Ⅰ・医科)
810 10 自由文(該当コードが無いとき) 810000001
820 20 何も入れない。コードの文言がそのまま出る 820100742 隔日投与
830 30 定型文の後ろに続く文字(薬剤名・検査名・理由など) 830100060 検査名(悪性腫瘍特異物質治療管理料)
831 31 診療行為コード 入院の加算など
840 40 定型文の中に埋め込む数字 退院年月日など
842 42 定型文の後ろに続く数字(回数・検査値) 通算実施回数など
850 50 年月日 850100514 手術年月日(薬剤料・処方箋料)
851・852・853 51〜53 時分・分・日時分 開始時刻、診療時間など
880 80 年月日と検査値 前回の検査値など
890 90 修飾語(部位)コード 画像診断の部位

820は選ぶだけで済みますが、830以降は文字や数字を入れ忘れると、意味の通らないコメントになります。数字は全角で入れ、文字データは1件あたり全角38文字(76バイト)までなので、長い理由はコメントレコードを分けて記録します。

手順4:「令和8年6月1日適用」の印を確かめる

令和8年度改定で新しく設けられたコードには、別表Ⅰの右端の列に「令和8年6月1日適用」の印が付いています。記載要領では、この印のコードは令和8年10月診療分以降に選択するものとして差し支えないとしています。言い換えると、9月診療分までは従来の書き方でもよかったものが、10月診療分からはコードでの記録に切り替わります。

再診料の「健診等の実施とは別の受診において保険診療を実施した」(820101331)や、2つ目の診療科の初診料で1つ目の診療科を記録するコード(830100923)がその例です。11月の請求の前に、自院でよく算定する項目に印の付いたコードが無いかを一度見ておくと安心です。

算定を間違えないカルテの選び方

算定や記録の抜け漏れは、カルテ側で必要な情報が見えるかどうかで変わります。選ぶときに何を見ればよいかを整理した資料です。

一番やさしい電子カルテの選び方ブックを見る

摘要欄の入力はレセコン・電子カルテのどこから行うか

画面の名前は製品ごとに違いますが、入れる場所の考え方は共通です。

入れたいもの 入力する場所の目安
特定の算定項目に付くコメント 診療行為の入力画面で、その項目のすぐ前か後ろにコメントコードを入れる
レセプト全体に係るコメント 全体用のコメント(診療識別99に当たるもの)の入力欄
症状詳記 症状詳記の専用画面
傷病名の補足 病名登録の画面(摘要欄ではない)

電子レセプトの決まりでは、コメントは対象の点数・回数の算定単位の直前か直後に記録できます。離れた場所に入れると、どの項目のコメントか読み取れなくなるので、算定項目と並べて入れるのが基本です。

電子カルテとレセコンを連携している場合、カルテ側で入れたコメントがレセコンにそのまま送られるか、レセコン側で入れ直す必要があるかは、連携の仕方によって違います。どちらで入れるかを院内で1つに決めておかないと、二重入力や入れ忘れの原因になります。

摘要欄の入れ忘れを提出前に見つける点検

審査支払機関の受付・事務点検ASPでは、コメントについて次のような形式のエラーを返します(令和8年10月版のチェック一覧より)。

  • コメントコードの先頭が「8」以外(L2307)
  • マスターに無いコード(コメントコードを含む摘要のコード)が記録されている(L3303)
  • コメントの文字データに外字が含まれている(L3390)

ただし、ASPが見るのは主に記録の形式です。別表Ⅰで書くべきコメントが足りているかどうかは、自院の点検で見ることになります。毎月の点検では、次の順で確かめると入れ忘れが減ります。

  1. 今月算定した項目のうち、別表Ⅰに記載事項がある項目を一覧にする(レセコンのコメント必須チェックがあれば使う)
  2. 830以降のコードで、文字や数字が空のものが無いかを見る
  3. 「令和8年6月1日適用」の印の付いたコードを、10月診療分から自由文のままにしていないかを見る

摘要欄の不備で返戻になったときの出し直しは「ORCAで返戻レセプトを再請求する手順」に、返戻・査定を減らす仕組みづくりは「レセプト返戻・査定を減らす電子カルテの請求機能の仕組み化」にまとめています。

個別の項目の書き方は、「特定保険医療材料のレセプトの書き方」(材料の摘要欄の記載順)や、「アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料の算定要件」(初回算定年月日の記載)で扱っています。

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よくある質問

摘要欄に書ききれないときはどうしますか

紙の明細書では、明細書と同じ大きさの用紙に、診療年月・医療機関コード・患者氏名・保険種別・保険者番号・記号番号を書いたうえで内容を書き、続紙として明細書の次に重ねて左上端を貼り付けます。電子レセプトでは欄の大きさの制限は無く、コメントレコードを必要な数だけ記録します。1件の文字データは全角38文字までです。

摘要欄の記載例はどこで見られますか

厚生労働省の令和8年度診療報酬改定のページに、記載要領の通知と別表Ⅰ〜Ⅴ(Excel)が載っています。別表Ⅰの「左記コードによるレセプト表示文言」の列が、実際に摘要欄に表示される文言です。

まとめ

  • 摘要欄は、紙の明細書(様式第2)では下半分の右側。左端の番号は点数欄の区分番号と同じ
  • 電子レセプトでは、摘要欄の多くはコメントレコード(CO)として記録し、医師の説明は症状詳記(SJ)に入れる
  • 別表Ⅰにコードがある事項はコードを選ぶ。「紙レセのみ記載」の○の事項は電子では書かない
  • コードの頭3桁で入れる情報の形が決まる。830以降は文字や数字の入れ忘れに注意
  • 「令和8年6月1日適用」のコードは、10月診療分からコードで記録する

参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について 令和8年3月27日保医発0327第2号、別表Ⅰ〜Ⅴ) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(令和8年3月27日保医発0327第2号・0730訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732127.pdf
  • 厚生労働省 別表Ⅰ「診療報酬明細書の「摘要」欄への記載事項等一覧」(0730訂正後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732129.xlsx
  • 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構「レセプト電算処理システム」(記録条件仕様・電子レセプトの作成手引き) https://www.hpdx.or.jp/seikyushiharai/iryokikan/iryokikan_02.html
  • 社会保険診療報酬支払基金「レセプト電算処理システム 電子レセプトの作成手引き -医科- 令和6年9月版」 https://www.hpdx.or.jp/seikyushiharai/iryokikan/iryokikan_02.files/jiki_i01.pdf
  • 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構「受付・事務点検ASPに係るチェック一覧(医科)令和8年10月版」 https://www.hpdx.or.jp/seikyushiharai/iryokikan/download/index.files/checkichiran_ika.pdf
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提供形態

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