レセプトの取り下げ方法|当月分と前月以前分で違う出し方、オンライン請求での手順、取り下げ理由の例文

レセプトの取り下げは、請求したあとで自院の誤りに気づいたときに、そのレセプトを返してもらう手続きです。出し方は「いつ請求した分か」で決まります。今月請求した分は紙の依頼書、前月以前に請求した分はオンライン請求システムから依頼するのが基本です。

この記事では、資格の誤りや病名の付け忘れに気づいて、出したレセプトを戻したい医療事務の方に向けて、取り下げるべきかの判断と、提出先ごとの出し方、戻った後の再請求までを整理します。手順は、医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(DX審査支払機構。2026年10月に社会保険診療報酬支払基金から改組)と、各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)の公開資料で確かめた内容です。

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目次
  1. レセプトの取り下げは「自院の請求誤り」を戻す手続きで、再審査請求とは別もの
  2. レセプトを取り下げるか、返戻を待つか、取り下げずに済むかの境界線
  3. レセプトの取り下げ依頼は、当月請求分と前月以前の請求分で出し方が変わる
  4. オンライン請求システムでレセプトを取り下げる手順
    1. 取下げ理由コード
  5. 紙のレセプト取り下げ依頼書の書き方と、取り下げ理由の例文
    1. 支払基金(DX審査支払機構)と国保連でレセプト取り下げの様式が違う点
    2. 取り下げ理由の例文
  6. 取り下げたレセプトが返戻された後の再請求
    1. 支払い済みの分は、後の振込で差し引かれる
  7. レセプトの取り下げはいつまで遡れるか
  8. よくある質問
    1. 取り下げと返戻はどう違いますか
    2. 後期高齢者医療のレセプトを取り下げたいときは、どこに出しますか
    3. 同じ患者の複数月のレセプトを取り下げたいです
    4. 当月分の取り下げ期限に間に合いませんでした
  9. まとめ
  10. 参考

レセプトの取り下げは「自院の請求誤り」を戻す手続きで、再審査請求とは別もの

取り下げと再審査請求は、同じ依頼書(または同じ作成ツール)を使うので混同されがちです。分かれ目は、誤りが自院にあるか、審査の結果に異議があるかです。

取り下げ 再審査請求
使う場面 資格の変更が分かった、病名や診療行為の記載を誤った、請求先が労災や自賠責だった 審査で減点(査定)されたが、算定は正しいと考える
誤りがあるのは 自院の請求 審査の結果(と自院は考える)
結果 レセプトが返戻されて戻ってくる 再度審査され、原審どおりか復活かが通知される

福岡県国保連は、審査結果に関わるものは取り下げではなく再審査の申立をするよう案内しています。逆に、病名の付け忘れなど自院の記載誤りで減点されたものは、東京都国保連の記載要領で再審査請求の対象にならないとされています。減点の理由が自院の書き忘れなら、再審査で争うより、次の請求から記載を直すほうが早く済みます。

なお、同じレセプトに対して再審査と取り下げを同時に請求することはできません(大阪府国保連の入力要領)。

レセプトを取り下げるか、返戻を待つか、取り下げずに済むかの境界線

誤りに気づいたら、すぐ取り下げるのが正解とは限りません。いつ気づいたか、誤りが誰の側にあるかで、取るべき手が変わります。

状況 取るべき手
請求した月の10日(締切)前に、オンライン請求で送ったデータの誤りに気づいた 取り下げない。国保連などに連絡したうえで、10日までに再送信する
受付・事務点検ASPのエラー分を除いて送った 取り下げない。エラー分だけ直して12日までに再送信する
締切後、当月中に自院の記載誤りや資格の誤りに気づいた 当月請求分として、紙の依頼書で取り下げる
前月以前に請求した分で、自院の誤りに気づいた オンライン請求システムから取り下げる
保険者が資格の誤りに気づき、返戻されてくる見込み 取り下げずに返戻を待つ。二重に手続きすると処理が混乱しやすい
審査で減点されたが、算定は正しいと考える 取り下げではなく再審査請求をする
誤りが軽微で、点数にも請求先にも影響しない 取り下げない。次回以降の請求で記載を直す

締切前の再送信は、東京都国保連が講習会資料で案内している扱いです。再送信できる日付や連絡の要否は都道府県で違うことがあるので、提出先の案内で確かめてください。

「保険者からの返戻を待つ」は、資格喪失後の受診のように保険者側で必ず見つかる誤りに向いています。ただし、患者の新しい保険がすでに分かっていて早く請求し直したいなら、自院から取り下げたほうが入金は早まります。

レセプトの取り下げ依頼は、当月請求分と前月以前の請求分で出し方が変わる

どの提出先でも共通するのは、今月請求したレセプトはオンライン請求システムから取り下げられないことです。

当月請求分 前月以前の請求分
オンライン請求の医療機関 紙の依頼書を郵送 オンライン請求システムから依頼
電子媒体・紙で請求している医療機関 紙の依頼書を郵送 紙の依頼書を郵送

DX審査支払機構は、当月請求分の取り下げは「取下げ期限日」までに依頼書を出すよう求めています。期限日は毎月変わり、各都道府県の情報ページにある「DX審査支払機構からのご案内」に載っています。期限に間に合わない分は、翌々月以降に返戻されます。

国保連の当月分の締切は県ごとに違います。たとえば群馬県国保連は、当月請求の取り下げを原則20日までに連絡するよう案内しています。県によって日付が違い、業務日程で前後することもあるため、毎月の締切は提出先の案内で確かめてください。

FAXでの提出は、DX審査支払機構では受け付けていません。群馬県国保連も同様です。

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オンライン請求システムでレセプトを取り下げる手順

前月以前に請求した分は、オンライン請求システムから取り下げを依頼できます。支払基金と国保連のどちらに出す分も、使うツールは同じです。

  1. オンライン請求システムのトップメニューで「マニュアル」を開き、「医療機関再審査等請求ファイル作成ツール」をダウンロードしてインストールします。
  2. ツールで、取り下げるレセプト1件ごとに再審査等請求ファイルを作ります。理由は「取下げ」を選びます。
  3. 取下げ理由をコードで選び、請求理由欄に具体的な理由を入れます。
  4. オンライン請求システムの「再審査・取下げ」メニューから送信します。

東京都国保連と兵庫県国保連は、オンラインで送信できる期間を毎月5日から月末までとしています。月初の数日はオンライン請求システム自体が使えないので、その間はファイルを作っておき、5日以降に送ります。

ツールに入れる内容は、請求した時点のレセプトの内容です。被保険者番号の欄に枝番は入れません(兵庫県国保連)。また、国保連に請求したレセプトでも、資格確認の結果で支払基金へ振り替えられたものは、国保連では取り下げられません。振替先のDX審査支払機構に依頼します(兵庫県国保連・大阪府国保連は、支払基金〔現DX審査支払機構〕へ振り替えられたレセプトは受け付けないとしています)。

取下げ理由コード

大阪府国保連の入力要領では、取下げ理由を次のコードから選びます。

コード 内容
1 記載事項不備のため
2 傷病名等記載不備のため
3 医薬品・診療項目等の記載不備のため
4 資格関係、請求手続きの誤りのため
5 労災保険への請求先変更のため
6 自賠責保険への請求先変更のため
7 公費負担医療との併用に変更のため
9 公費実施機関からの再審査請求のため

入力要領では、適切な取下げ理由が無いときも「9」を選び、その場合は請求理由を必ず入力するよう求めています。

請求理由は全角500文字以内で入れます。操作の詳細は、オンライン請求システム内の「操作手順書<医療機関・薬局用>医療機関再審査等請求ファイル作成ツール」に載っています。

紙のレセプト取り下げ依頼書の書き方と、取り下げ理由の例文

当月請求分や、オンライン請求をしていない医療機関の分は、紙の依頼書を郵送します。どちらの提出先も、依頼書はレセプト1件ごとに1枚作り、様式上部の「再審査」「取下げ」のうち「取下げ」に○を付けます。

支払基金(DX審査支払機構)と国保連でレセプト取り下げの様式が違う点

DX審査支払機構(社保) 国保連(国保・後期高齢者。東京都の例)
様式名 再審査等請求書(取下げ) 再審査・取下げ依頼書
提出先 審査事務センター・分室、または審査委員会事務局の審査事務担当者(請求形態と所在地で異なる) 都道府県の国保連
理由の書き方 「請求理由」欄に文章で書く 「取下げ依頼の理由」欄で、当てはまる理由に○を付ける
書かない欄 「※取下げ理由」「※備考」「※機構使用欄」(機構が使う) 再審査用の欄(取り下げは1〜8の項目だけ記入)
請求年月の考え方 — 「請求(調整)年月」に、当初請求した年月(通常は診療年月の翌月)を入れる

様式名は県によって違います。埼玉県国保連は「レセプト取消(返戻)依頼書」、福岡県国保連は「診療報酬明細書等の取下げ依頼について」という名前です。様式は各国保連のホームページから取れるので、提出先の最新のものを使ってください。

取り下げ理由の例文

理由は、何が誤っていて、どう直して出し直すかを1〜2文で書きます。保険者や審査支払機関の担当者が、レセプトを見ずに事情を把握できる書き方にします。

  • 資格の誤り: 「受診日時点で資格喪失していたことが判明したため(資格喪失日 令和8年8月31日)。新しい保険者へ請求し直します。」
  • 保険者番号の入力誤り: 「保険者番号の入力を誤ったため。正しい保険者番号で再請求します。」
  • 病名の付け忘れ: 「算定した検査に対応する傷病名の記載がなかったため。傷病名を追加して再請求します。」
  • 労災への切り替え: 「業務上の負傷と判明し、労災保険へ請求先を変更するため。」
  • 公費の追加: 「受診後に公費負担医療の受給者証の提示があり、公費併用で請求し直すため。」
  • 二重請求: 「同一患者・同一診療月のレセプトを重複して請求したため。」

労災に切り替える場合の受付と書類の扱いは「労災の受診の流れ」にまとめています。

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取り下げたレセプトが返戻された後の再請求

取り下げを依頼したレセプトは、返戻として医療機関に戻ってきます。内容を直して、通常の返戻分と同じように再請求します。東京都国保連は、再請求のレセプトに依頼書を付ける必要はないとしています。

取り下げたレセプトに審査の減点が付いていた場合は注意が要ります。大阪府国保連と福岡県国保連は、減点に異議があるなら減点前の状態にレセプトを直してから再請求するよう求めています。大阪府国保連は、減点されたまま再請求すると異議がないものとして扱い、再審査請求もできなくなるとしています。

オンライン請求では、戻ってきた返戻データを直してオンラインで再請求できます。ORCAを使っている場合の取り込みと紐付けの手順は「ORCAで返戻レセプトを再請求する手順」に、返戻と月遅れ請求の入れ方の違いは「ORCAで月遅れ請求をするには?」にあります。取り下げで戻った分を月遅れとして新しく出すと、元のレセプトとつながらないので、返戻の再請求として出してください。

支払い済みの分は、後の振込で差し引かれる

すでに診療報酬が振り込まれた後に取り下げた分は、返金の手続きをするわけではありません。後の月の振込で差し引かれます。DX審査支払機構の振込額明細書では、再審査などで査定や返戻になった額が「再審査等調整額」として表示され、その分を差し引いた額が支払確定額になります。取り下げた月に入金が減って見えるのはこのためです。

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レセプトの取り下げはいつまで遡れるか

DX審査支払機構と国保連の案内では、取り下げそのものに「何か月前の請求分まで」という一律の受付期限は示されていません。ただし、古い月の分ほど保険者での確認に時間がかかり、戻ってくるまでも長くなります。気づいた時点で早めに依頼するのが基本です。

取り下げた後に再請求できるかは、診療報酬の請求権の消滅時効にかかります。時効の考え方と、毎月の請求期限との関係は「レセプト請求の期限はいつまで?」で整理しています。

よくある質問

取り下げと返戻はどう違いますか

返戻は、審査支払機関や保険者がレセプトを医療機関に戻すことです。取り下げは、医療機関から依頼して返戻してもらう手続きです。取り下げを依頼すると、結果として返戻の形で戻ってきます。

後期高齢者医療のレセプトを取り下げたいときは、どこに出しますか

後期高齢者医療と国民健康保険の分は、都道府県の国保連に出します。県外の保険者の分も、所在地の国保連にまとめて出すのが一般的です(福岡県国保連など)。社会保険の分はDX審査支払機構に出します。

同じ患者の複数月のレセプトを取り下げたいです

依頼書(またはオンラインのファイル)はレセプト1件ごとに作ります。3か月分なら3件の依頼になります。

当月分の取り下げ期限に間に合いませんでした

DX審査支払機構は、期限に間に合わない当月請求分は翌々月以降に返戻するとしています。いったん審査に回るので、戻ってくるのを待って再請求してください。

まとめ

  • 取り下げは自院の請求誤りを戻す手続き。審査の減点に異議があるなら再審査請求
  • 締切前の誤りは再送信で済む。保険者が見つける資格の誤りは返戻を待つ手もある
  • 当月請求分は紙の依頼書、前月以前の分はオンライン請求システムから。オンラインは毎月5日から月末まで
  • 依頼はレセプト1件ごと。社保は請求理由を文章で、国保連は理由に○を付ける様式が多い
  • 戻ったレセプトは返戻の再請求として出す。減点に異議があれば減点前に直してから出す

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参考

  • 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構「再審査請求(取下げ)の方法」 https://www.hpdx.or.jp/seikyushiharai/iryoukikan_saisinsa/index.html
  • 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構「再審査等請求書」(作成要領付き) https://www.hpdx.or.jp/yoshiki/yoshiki_01_h30i.files/yoshiki09_01.pdf
  • 社会保険診療報酬支払基金「増減点連絡書・各種通知書の見方」(令和8年2月) https://www.hpdx.or.jp/seikyushiharai/mikata/seikyushiharai_04.files/seikyushiharai_04_01.pdf
  • 東京都国民健康保険団体連合会「診療(調剤)報酬明細書等再審査・取下げ依頼関係」 https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/insurance/examination_request.html
  • 東京都国民健康保険団体連合会「再審査・取下げ依頼書の記載要領」 https://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/download/shinsakyojo/guid_saishintorisage_youkou.pdf
  • 東京都国民健康保険団体連合会「診療報酬請求書等の提出上の留意点について」(令和2年度 医療保険事務講習会) https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/application/pdf/r2jimuko_33.pdf
  • 大阪府国民健康保険団体連合会「医療機関再審査等請求ファイル作成ツール入力要領」 https://www.osakakokuhoren.jp/upload/0329yoryo.pdf
  • 兵庫県国民健康保険団体連合会「オンライン請求システムからの取下げ」 https://www.kokuhoren-hyogo.or.jp/medical/pdf/torisageirai_online.pdf
  • 群馬県国民健康保険団体連合会「再審査請求・レセプト取下げ依頼について」 https://www.gunmakokuho.or.jp/insurance/再審査請求・レセプト取下げ依頼について/
  • 福岡県国民健康保険団体連合会「保険医療機関等再審査申立・レセプトの取下げ依頼について」 https://www.kokuhoren-fukuoka.jp/providers/277/
  • 埼玉県国民健康保険団体連合会「レセプトの取消(返戻)を依頼する場合」 https://saikokuhoren.or.jp/medical-fee-post/レセプトの取消(返戻)を依頼する場合/
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対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、