労災指定病院(労災指定医療機関)とは|指定と指定外で変わる患者負担と様式、クリニックが指定を受ける申請手続き

「労災指定病院」は、正式には労災保険指定医療機関といいます。都道府県労働局長の指定を受け、仕事中や通勤中にけがをした労働者に、政府に代わって労災保険の治療(療養の給付)を行う病院・診療所です。名前に「病院」と付いていますが、クリニックも指定を受けられます。

指定を受けているかどうかで、患者が窓口で払うお金と、受付が受け取る様式が変わります。指定医療機関なら患者の窓口負担はなく、様式第5号を受け取って労働局に診療費を請求します。指定外なら患者がいったん全額を払い、様式第7号で労働基準監督署に請求します。

この記事は、指定を受けるか迷っている院長と、労災の患者を受け付ける医療事務の方に向けて、指定の仕組み、申請の手続き、指定を受けるべきクリニックの条件をまとめます。根拠は労働者災害補償保険法施行規則、労災保険指定医療機関療養担当規程、令和8年6月版の労災診療費算定マニュアルです。受付で労災の患者に何を聞くかは「労災の受診の流れ」にまとめているので、ここでは医療機関側の手続きを中心に書きます。

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目次
  1. 労災指定病院は都道府県労働局長が指定する医療機関
  2. 労災指定医療機関と指定外で変わる患者負担と様式第5号・第7号
  3. 労災指定医療機関が請求する労災診療費の単価と初診料
  4. 労災指定医療機関の指定申請の手続きと必要書類
    1. 申請から指定までの流れ
  5. 労災指定医療機関の指定期間3年と自動更新・変更届
  6. 労災指定を受けるクリニックと受けなくてよいクリニックの境界線
  7. 労災指定病院の調べ方と患者への案内
  8. よくある質問
    1. 労災指定を受けるのに費用はかかりますか
    2. 保険医療機関の指定と同時に申請できますか
    3. 指定医療機関なのに、患者が様式第5号を持ってきませんでした
    4. 指定期間の3年が過ぎましたが、更新の通知が来ません
  9. まとめ
  10. 参考

労災指定病院は都道府県労働局長が指定する医療機関

労働者災害補償保険法施行規則第11条は、労災保険の療養の給付を行う場所を次のように定めています。

  • 社会復帰促進等事業として設置された病院・診療所(いわゆる労災病院)
  • 都道府県労働局長が指定する病院・診療所・薬局・訪問看護事業者

一般に「労災指定病院」と呼ばれるのは、2つ目の指定を受けた医療機関です。健康保険の保険医療機関の指定(地方厚生局)とは別の指定で、保険医療機関であっても、労働局の指定を受けていなければ労災指定医療機関ではありません。

指定医療機関の決まりごとは「労災保険指定医療機関療養担当規程」にまとめられています。指定医療機関は、療養給付請求書で患者に給付を受ける資格があるかを確認してから診察すること、労災の患者の診療録を他の診療録と区別して整備することなどが定められています。指定を受けた医療機関は、施行規則で定める様式の標札を見やすい場所に掲げます。

労災指定医療機関と指定外で変わる患者負担と様式第5号・第7号

患者から見たいちばんの違いは、窓口で立て替えが要るかどうかです。

項目 労災指定医療機関 指定外の医療機関
患者の窓口負担 なし いったん全額を支払う
患者が出す様式(業務災害) 様式第5号(療養の給付請求書) 様式第7号(1)(療養の費用請求書)
患者が出す様式(通勤災害) 様式第16号の3 様式第16号の5(1)
様式の出し先 医療機関に提出し、医療機関から労働局を経由して労働基準監督署へ 患者が労働基準監督署へ
医療機関がすること 様式を受け取り、毎月の診療費を労働局に請求する 様式第7号の医療機関の証明欄を記入する(無償)
医療機関への支払い 労働局から振り込まれる 患者から窓口で受け取る

指定外の医療機関でも、労災の患者を診療すること自体はできます。ただし、患者は全額を立て替え、後から労働基準監督署に請求する手間を負います。療養担当規程は、指定医療機関が様式第7号などの費用請求書に証明を求められたときは無償で行うと定めています。

様式第7号の医療機関が書く欄は「労災の様式7号とは」、転院してきた患者の様式第6号は「労災の様式6号とは」で扱っています。

労災指定医療機関が請求する労災診療費の単価と初診料

指定医療機関が労働局に請求する労災診療費は、健康保険の点数表を基本に、労災独自の算定基準で計算します。令和8年6月1日以降の診療には、令和8年4月21日付けで最終改正された「労災診療費算定基準」が適用されています。

項目 令和8年6月以降の額
診療単価 1点12円(国・公共法人、医療保健業が非課税の公益法人等は11円50銭)
初診料 3,850円(点数ではなく金額で算定)
再診料 1,430円(令和8年6月に1,420円から引き上げ)
療養の給付請求書取扱料 2,200円(令和8年6月に2,000円から引き上げ)

療養の給付請求書取扱料は、指定医療機関が様式第5号(通勤災害は第16号の3)を取り扱ったときだけ算定できます。様式第7号の療養の費用請求書を取り扱った場合や、再発、様式第6号の転医始診では算定できません。

健康保険の1点10円と比べると、同じ診療でも労災のほうが診療費は高くなります。ただし、労災の請求は健康保険のレセプトと別の様式(労働者災害補償保険診療費請求書と内訳書)で、毎月、労働局に提出します。労災診療費の算定の細部は、厚生労働省の「労災診療費算定マニュアル」で確認できます。

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労災指定医療機関の指定申請の手続きと必要書類

指定は、医療機関の開設者が、所在地の都道府県労働局長あてに申請して受けます。窓口は各労働局の労働基準部労災補償課(医療係)です。様式や添付書類は労働局ごとに細部が違うので、申請前に所在地の労働局のページで確かめます。

埼玉労働局が案内している提出書類は次のとおりです。

  • [ ] 指定申請書(様式第1号)
  • [ ] 施設等概要書(様式第2号)と施設各階の平面図
  • [ ] 開設許可証の写し
  • [ ] 医師免許証の写し
  • [ ] 指定病院等登録(変更)報告書(診機様式第20号・第21号)
  • [ ] 地方厚生局へ届け出た施設基準の受理通知の写し(労災診療費の算定に使う)

労働局によっては、保険医療機関の指定通知書の写しや、開設者・医師の履歴書、労働保険番号が分かる書類を求めます。申請書には、指定を受けたら療養担当規程と労災診療費算定基準を守ることを承諾する文言が入っています。

申請から指定までの流れ

  1. 所在地の労働局の医療係に連絡し、最新の様式を入手する
  2. 書類をそろえて労働局長あてに提出する(郵送でもよい労働局が多い)
  3. 労働局が審査し、指定の可否を通知する
  4. 指定されたら標札を掲げ、受付の案内やホームページの表示を「労災指定」に改める
  5. 様式第5号を受け取った患者の分から、毎月の診療費を労働局に請求する

指定日を毎月1日にそろえ、前月20日までの提出を求めている労働局もあります。開業と同時に指定を受けたいなら、保険医療機関の指定が下りたらすぐに労働局へ相談するのが近道です。

労災指定医療機関の指定期間3年と自動更新・変更届

療養担当規程第19は、指定の効力を指定日から3年と定めています。ただし、期間が切れる日の6か月前から3か月前までの間に医療機関から申し出がなければ、指定は自動で更新されます。更新の手続きは要りません。

起きたこと すること 根拠
3年が経つ 何もしなければ自動更新 療養担当規程第19
指定をやめたい 期間満了の6か月前〜3か月前に申し出る 同上
閉院・休止・辞退 「労災保険指定医療機関休止・辞退届」を労働局長に出す 同上
開設者・管理者の交代、名称・所在地の変更 速やかに労働局長へ届け出る 療養担当規程第22
診療科目・病床数の変更、健保の算定に関する届出事項の変更 速やかに労働局長へ届け出る 同上

開設者が変わる承継や医療法人化のときは、地方厚生局の手続きだけで済ませないでください。労働局への変更届が漏れると、労災の請求書に書く医療機関の情報と労働局の登録が食い違います。診療費の請求に不正があったときや、法令・療養担当規程に違反したときは、労働局長が指定を取り消すことができます(同第21)。

労災指定を受けるクリニックと受けなくてよいクリニックの境界線

指定を受けると患者の立て替えが無くなる一方、労災専用の請求事務が毎月発生します。どちらを選ぶかは、労災の患者が来る頻度でほぼ決まります。

選択 向いている条件
指定を受ける 整形外科・外科・皮膚科・眼科など、けがの初療を受ける診療科。近くに工場・建設現場・物流拠点・オフィス街がある。労災の患者が月に数人以上来る。労災の請求を出せるレセコンを使っている
指定を受けない(指定外のまま診る) 内科・小児科・精神科などで、労災の患者は年に数人。来たときは様式第7号の証明欄を書けば足りる
まだ決めなくてよい 開業直後で患者層が読めない。まず半年ほど、労災の患者が何人来て、指定外で全額を立て替えてもらうことにどれだけ苦情が出たかを数えてから決める

労災の患者が年に数人なら、指定を受けても請求事務の手順が院内に定着しにくく、来るたびに調べ直すことになります。逆に、けがの患者が多い地域で指定外のままだと、患者は「全額払ってください」と言われた時点で、近くの指定医療機関へ移ってしまいます。

指定医療機関になった後も、精神疾患や長期の療養など、労災の請求が複雑になる場面はあります。院内で担当者を1人決め、労災診療費算定マニュアルの改定(直近は令和8年6月)を追う役にしておくと回ります。

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労災指定病院の調べ方と患者への案内

患者から「近くの労災指定病院はどこか」と聞かれたら、厚生労働省の「労災保険指定医療機関検索」を案内します。所在地や診療科で検索できます。

自院が指定外で、継続して通院する見込みの労災の患者には、次のように伝えます。

当院は労災指定医療機関ではないため、本日の医療費はいったん全額をお支払いいただき、後日、労働基準監督署に請求していただく形になります。継続して通院される場合は、労災指定医療機関に移ると窓口でのお支払いがなくなります。指定医療機関は厚生労働省の「労災保険指定医療機関検索」で探せます。

途中で指定医療機関に移る場合、移った先では様式第6号(通勤災害は第16号の4)を出します。

よくある質問

労災指定を受けるのに費用はかかりますか

手数料の有無は所在地の労働局に確認してください。実務上の準備は、書類の作成、標札の掲示、労災の請求に対応したレセコンの設定です。

保険医療機関の指定と同時に申請できますか

労災の指定は健康保険の指定とは別の申請で、出し先も地方厚生局ではなく労働局です。労働局によっては保険医療機関の指定通知書の写しを添付書類にしているため、健康保険の指定が下りてから申請する流れになります。

指定医療機関なのに、患者が様式第5号を持ってきませんでした

勤務先の証明が間に合わないことはよくあります。療養担当規程は、緊急でやむを得ない場合は様式の提出を後にできるとしています。その日は様式の提出を待つ扱いにするか、いったん預かり金を受け取るかを院内で決めておき、後日様式が届いたら精算します。

指定期間の3年が過ぎましたが、更新の通知が来ません

自動更新なので通知は来ないのが通常です。指定をやめる申し出をしていなければ、指定は続いています。

まとめ

労災指定病院(労災保険指定医療機関)は、都道府県労働局長の指定を受け、労災の治療を窓口負担なしで行う医療機関です。指定なら様式第5号を受け取り1点12円で労働局に請求し、指定外なら患者が全額を払って様式第7号で請求します。指定は労働局への申請で受け、3年ごとに自動更新されます。けがの患者が多いクリニックは指定を受け、年に数人なら指定外で証明欄を書く運用でも回ります。

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参考

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対象規模

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提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、