院外処方をしている診療所なら、ほぼ毎日レセプトに載るのが処方箋料(F400)です。患者が薬局で薬を受け取れるよう処方箋を出すたびに、1枚ごとではなく1回の交付ごとに点数が付きます。
点数そのものは3つしかありませんが、「7種類以上の内服薬」で32点に下がる、30日以上の長期投薬で4割に減る、加算が5種類ある、と分かれ目が多く、レセプトの点検で指摘を受けやすい項目でもあります。この記事では、令和8年度の医科診療報酬点数表と留意事項通知の文言に沿って、処方箋料の算定を整理します。
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処方箋料(F400)の点数は3区分
令和8年度の点数は、どの処方に当たるかで3段階に分かれます。
| 区分 | 対象となる処方 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | 3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬、3種類以上の抗精神病薬、または4種類以上の抗不安薬及び睡眠薬の投薬(臨時の投薬等と、3種類の抗うつ薬・抗精神病薬をやむを得ず投与するものを除く) | 20点 |
| 2 | 1以外で、7種類以上の内服薬の投薬(臨時の投薬で投薬期間が2週間以内のもの、地域包括診療加算を算定するものを除く)、または不安・不眠の症状がある患者に1年以上継続して別に定める薬剤を投薬した場合(専門の医師が行う場合等を除く) | 32点 |
| 3 | 1及び2以外の場合 | 60点 |
ほとんどの処方は「3」の60点です。1と2は、多剤投与や向精神薬の長期処方を抑えるための低い点数と考えると整理しやすくなります。
「7種類以上の内服薬」の数え方
区分2の内服薬の種類は、F200薬剤の「注3」と同じ数え方をします(留意事項通知 F400(6))。内服薬が6種類以下の処方や、外用薬・頓服薬だけの処方は区分3で算定します。
急な追加で内服薬が7種類に届いたときは、なぜ追加が要ったのかを処方箋の備考欄に残します(同(7))。
一般名処方をした医薬品の「種類」を数えるときは、該当する医薬品の薬価のうち最も低いものの薬価とみなして計算します(同(12))。
処方箋料と処方料の違い
院内で薬を渡すときは処方料(F100)、院外処方箋を出すときは処方箋料(F400)です。どちらか一方を算定します。
| 項目 | 処方料(院内処方) | 処方箋料(院外処方) |
|---|---|---|
| 向精神薬の多剤投与(区分1) | 18点 | 20点 |
| 7種類以上の内服薬など(区分2) | 29点 | 32点 |
| それ以外(区分3) | 42点 | 60点 |
| 調剤料 | 内服薬等11点・外用薬8点(1回の処方につき) | 算定しない(薬局が調剤報酬で算定) |
薬が何剤でも、何日分でも、処方箋料は1回分です(同(2))。同じ診察の流れで1人の患者に処方箋を2枚に分けて渡しても、数えるのは1回です(同(3))。
例外は、内科と皮膚科のように複数の科がある医療機関で、別々の医師がそれぞれの科で処方したケースです。このときは科ごとに処方箋料が付きます(同(4))。
処方箋料に付く加算の一覧
| 加算 | 点数 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 乳幼児加算(注3) | 3点 | 3歳未満の乳幼児に処方箋を交付した場合。交付1回につき |
| 特定疾患処方管理加算(注4) | 56点 | 診療所・200床未満の病院。別に定める疾患を主病とする外来患者に、28日以上の処方(リフィル処方箋の複数回使用による合計28日以上を含む)。月1回・1処方につき |
| 抗悪性腫瘍剤処方管理加算(注5) | 70点 | 届出をした200床以上の病院に限る |
| 一般名処方加算1(注6) | 8点 | 施設基準を満たし、後発医薬品のある全ての医薬品とバイオ後続品のあるバイオ医薬品(2品目以上の場合)を一般名処方した場合 |
| 一般名処方加算2(注6) | 6点 | 同じく、1品目でも一般名処方が含まれる場合 |
| 向精神薬調整連携加算(注7) | 12点 | 抗不安薬等の種類数・投薬量を減らし、薬剤師に症状の変化等の確認を指示した場合。月1回 |
特定疾患処方管理加算の対象疾患や28日の数え方は「特定疾患処方管理加算の算定要件」、一般名処方加算の院内掲示などの要件は「一般名処方加算の施設基準」で詳しく扱っています。
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処方箋料が減る・算定できない場面
30日以上の投薬で4割に減る(注2)
初診料の注2・注3、外来診療料の注2・注3を算定する医療機関(紹介割合・逆紹介割合が低い大病院など)では、別に定める薬剤を除き、1処方の投与期間が30日以上になると所定点数の100分の40で算定します。リフィル処方箋で1回の使用による投与期間が29日以内の場合は除かれます。多くの診療所には関係しませんが、病院と診療所を併せて運営している場合は注意が要ります。
特別な関係にある薬局へ処方箋が集中する場合(注8)
令和8年度の点数表には、直近3月の処方箋の交付回数が一定以上の医療機関が、特別調剤基本料Aを算定する薬局と不動産取引等の特別な関係にあり、その薬局に処方箋が集中しているとき、区分1〜3の点数をそれぞれ18点・29点・42点に置き換える規定があります。留意事項通知では、直近3月の交付回数が12,000回を超え、その薬局の処方箋受付のうち当該医療機関の分が9割を超える場合などと定めています。
院内投薬と院外処方の同日併用は原則不可
1回の受診で、薬の一部を院内で渡して残りを院外処方に回す、という分け方は原則できません。急ぎでどうしても分けた場合は、院内で渡した分は薬剤料だけを取り、処方料と調剤料は取らずに処方箋料を算定します。その日付と理由はレセプトの摘要欄に書きます(同(9))。
注射器・注射針だけの処方箋は出せない
注射器、注射針、またはその両方のみを処方箋で投与することは認められていません(同(9))。在宅自己注射の患者に院外処方箋で自己注射の薬剤を出す場合は、在宅時医学総合管理料など投薬の費用を含む管理料を算定する場合を除き、処方箋料を算定できると疑義解釈(その2)問66で示されています。
30日を超える長期投薬で確認すること
処方箋料の留意事項通知は、長期投薬の条件から始まります。31日分以上を出すなら、医師が「病状が落ち着いていて、本人が薬を管理できる」ことを確かめ、具合が変わったときにどうするか・どこに連絡するかを患者に伝えておく必要があります(同(1))。
そこまで確かめられないときは、1か月以内にもう一度受診してもらうか、薬局で何回かに分けて渡してもらう分割指示の処方箋を使います。分割指示は様式第二号の二で、分けられるのは3回までです(同(2))。
処方箋料の算定チェックリスト
- [ ] 院外処方箋を交付した日に、処方料(F100)と調剤料を重ねて算定していないか
- [ ] 内服薬が7種類以上なら区分2(32点)になっていないか。臨時追加で7種類以上なら備考欄に理由があるか
- [ ] 向精神薬が多剤になっていて20点の区分に落ちていないか
- [ ] 3歳になる前の子どもの処方に3点の加算を付けたか
- [ ] 56点の加算を、同じ月に2回付けていないか
- [ ] 同じ日に院内投薬と院外処方を併用していないか。併用した場合は摘要欄に日付と理由があるか
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よくある質問
処方箋料に外来管理加算は関係しますか
外来管理加算は再診料の加算で、処方箋料とは別の項目です。処方箋を出しても外来管理加算の算定可否は変わりませんが、簡単な症状確認だけで継続処方をした場合は外来管理加算を算定できないと再診料の留意事項通知に書かれています。
リフィル処方箋を出した日はどう数えますか
リフィル処方箋も、出した日に1回分の処方箋料が付きます。湿布などの貼付剤や、1回に出せる日数に上限がある薬は、リフィルの対象にできません(同(15))。
まとめ
処方箋料は、ほとんどの処方で60点、内服薬7種類以上などで32点、向精神薬の多剤投与で20点の3区分です。乳幼児加算・特定疾患処方管理加算・一般名処方加算の付け忘れと、院内投薬との同日併用、7種類の数え違いが点検で見つかりやすいところです。レセコンの自動判定に任せている場合も、区分2・区分1に落ちた処方は内容を確かめてください。
参考
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保医発0305第6号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その2)」(令和8年4月1日事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001689076.pdf
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この記事は、2026年11月時点の情報を元に作成しています。
