レセプトの見方|診療報酬明細書(医科入院外)を上から順に読む欄ごとの早見表と、点検で間違いが見つかりやすい7か所

レセプト(診療報酬明細書)は、1人の患者について1か月分の診療内容と点数を、保険者に請求するために書いたものです。クリニックの外来なら、使う様式は「医科入院外」の明細書(様式第二号(二))です。

見た目は欄が多くて読みにくいのですが、並び方には順番があります。上から「いつ・どこの医療機関が」「誰の・どの保険で」「どんな病名で何日来て」「どの診療に何点使い」「いくら請求するか」の順に並んでいます。この順に読めば、初めてでも迷いません。

この記事では、医療事務の新人と、レセプトを点検する院長に向けて、明細書の欄を上から順に読む方法と、点検で間違いが見つかりやすい箇所をまとめます。欄の書き方は、厚生労働省の「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号、令和8年度の改正後のもの)に基づきます。

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目次
  1. レセプトは上から5つのまとまりで読む
  2. ① 請求の基本情報:診療年月・都道府県番号・医療機関コード
  3. ② 保険と患者の情報:保険種別・本人家族・特記事項の読み方
    1. 保険種別1・保険種別2・本人家族
    2. 保険者番号・給付割合・記号番号
    3. 公費負担者番号・受給者番号
    4. 氏名・職務上の事由・特記事項
  4. ③ 医療機関と傷病の情報:傷病名・診療開始日・転帰・診療実日数
    1. 傷病名は、点数欄の診療の理由になっているかで読む
    2. 診療開始日は「その病気でそのクリニックにかかり始めた日」
    3. 診療実日数は、来院した日数とずれることがある
  5. ④ 診療内容と点数:点数欄と摘要欄をセットで読む
    1. 摘要欄は「点数の内訳」と「算定の理由」の2つを読む
  6. ⑤ 請求の合計:療養の給付と一部負担金額
  7. 点検で間違いが見つかりやすい7か所
  8. よくある質問
    1. 患者が受け取る「診療明細書」と、レセプトは同じものですか
    2. 入院のレセプトも同じ読み方でよいですか
    3. 歯科や調剤のレセプトはどう違いますか
  9. まとめ
  10. 参考

レセプトは上から5つのまとまりで読む

医科入院外の明細書は、上から次の5つのまとまりに分けて読むと整理できます。

まとまり 主な欄 読み取ること
① 請求の基本情報 診療年月、都道府県番号、医療機関コード いつの診療を、どこの医療機関が請求しているか
② 保険と患者の情報 保険種別1・2、本人・家族、保険者番号、給付割合、記号・番号、公費負担者番号・受給者番号、氏名・性別・生年月日、職務上の事由、特記事項 誰の、どの保険(と公費)で請求しているか
③ 医療機関と傷病の情報 保険医療機関の所在地及び名称、傷病名、診療開始日、転帰、診療実日数 どんな病名で、いつから、何日来たか
④ 診療内容と点数 初診・再診・医学管理・在宅・投薬・注射・処置・手術・検査・画像診断・その他の各欄、摘要欄 どの診療に何点を算定したか
⑤ 請求の合計 療養の給付(請求点数、一部負担金額)、公費分点数 保険と公費に何点を請求するか

紙で見るときも、レセコンの画面やPDFで見るときも、並びは同じです。電子レセプトでは、欄の位置ではなくレコードの種類で記録されていますが、画面に表示されるレセプトの並びは紙の様式に合わせてあります。

① 請求の基本情報:診療年月・都道府県番号・医療機関コード

いちばん上の段には、どの月の診療を、どの医療機関が請求しているかが書かれています。

欄 書かれていること
令和 年 月分 診療を行った年月(請求する月ではない)
都道府県番号 医療機関がある都道府県の番号(2桁)
医療機関コード 医療機関ごとに決められた7桁のコード

注意したいのは「令和 年 月分」です。ここに入るのは診療を行った月で、請求書を出す月ではありません。10月に請求するレセプトなら、通常は「9月分」と書かれています。月遅れで請求するときは、さらに前の月になります。

② 保険と患者の情報:保険種別・本人家族・特記事項の読み方

2段目には、患者がどの保険を使っているかと、患者本人の情報がまとまっています。点検で最も間違いが見つかりやすいのがこの部分です。

保険種別1・保険種別2・本人家族

3つの欄を組み合わせて、保険の種類と給付の区分を表します。

欄 選択肢 読み方
保険種別1 1 社・国/2 公費/3 後期 健康保険・国民健康保険なら1、公費だけなら2、後期高齢者医療なら3
保険種別2 1 単独/2 2併/3 3併 公費を併用していなければ単独、公費1種と併用なら2併、2種以上なら3併
本人・家族(外来) 2 本外/4 六外/6 家外/8 高外一/0 高外7 本人、未就学者、家族、高齢受給者・後期高齢者(一般・低所得)、同(7割給付)

未就学者は、6歳に達する日以後最初の3月31日までの患者です。高齢受給者と後期高齢者は「8」または「0」になり、後期高齢者の1割負担と2割負担の区別はこの欄ではなく、特記事項の所得区分で見分けます。

保険者番号・給付割合・記号番号

欄 書かれていること 見るところ
保険者番号 8桁(国民健康保険は6桁を右詰め) 公費だけの場合は空欄
給付割合 国民健康保険の給付割合 自県分は省略されることがある
被保険者資格に係る記号・番号 資格確認書などの記号・番号、枝番 電子資格確認の場合は、オンラインで提供された資格情報から入る

保険者番号の桁と検証番号の確かめ方は、「保険者番号の検索・確認方法」で紹介しています。

公費負担者番号・受給者番号

公費を使っている患者では、公費負担者番号(8桁)と受給者番号(7桁)が、第1公費は①、第2公費は②の欄に入ります。どちらを①にするかは、法別番号の表に示された順番で決まります。

公費の番号の読み方は「公費の受給者番号の見方」、法別番号と優先順位は「公費負担医療制度の法別番号一覧」で整理しています。

氏名・職務上の事由・特記事項

氏名の欄には、姓名・性別・生年月日が入ります。健康保険の被保険者は姓だけでもよいとされていますが、レセコンで作ったレセプトでは姓名がそろっているのが普通です。

職務上の事由は、船員保険の被保険者などに使う欄で、クリニックの外来ではほとんど空欄です。

特記事項には、2桁のコードと略号が入ります。外来でよく見るものは次のとおりです。

コード 略号 意味の要点
02 長 特定疾病療養受療証(長期高額疾病)を出した患者
16 長2 高額長期疾病で、自己負担の上限が2万円の受療証を出した患者
10 第三 交通の衝突やけんかなど、第三者の行為によるけがや病気と認められる場合
26〜30 区ア〜区オ 限度額の適用区分(所得区分)。70歳未満と70歳以上で意味が違う
41・42 区カ・区キ 後期高齢者医療の一般の所得区分。区カは2割負担、区キは1割負担

所得区分(区ア〜区オなど)は、限度額適用認定証やマイナ保険証の情報に基づいて入ります。患者の負担上限に関わるので、窓口で受け取った金額と合っているかを点検で見ます。

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③ 医療機関と傷病の情報:傷病名・診療開始日・転帰・診療実日数

3段目には、病名と、患者がいつから何日来たかがまとまっています。

欄 書かれていること 読み方の注意
保険医療機関の所在地及び名称 厚生局に届け出た所在地と名称 開業後の移転や名称変更を届け出ていないと食い違う
傷病名 主傷病、副傷病の順 主傷病は原則1つ。4つ以上は余白か摘要欄に番号付きで書かれる
診療開始日 そのクリニックで保険診療を始めた年月日 保険が変わった月は、その変更日が入る
転帰 治ゆ・死亡・中止 何も付いていなければ継続中
診療実日数 実際に診療をした日数 数え方に例外がある(下で説明)

傷病名は、点数欄の診療の理由になっているかで読む

傷病名は、その月に行った検査や投薬の根拠になる病名です。点検では、点数欄に並んだ検査・投薬・処置に、それぞれ対応する病名があるかを見ます。病名が足りないと、審査で査定や返戻の理由になります。

傷病名には、原則として傷病名マスター(傷病名コード)にある名前を使います。

診療開始日は「その病気でそのクリニックにかかり始めた日」

診療開始日は、病名ごとに、そのクリニックで保険診療を始めた日です。同じ月の途中で保険の種類が変わったときは、変わった日が診療開始日になり、摘要欄にその旨が書かれます。

診療実日数は、来院した日数とずれることがある

診療実日数は、その月に実際に診療を行った日数です。来院した日数とずれる主な場合は次のとおりです。

場面 実日数の数え方
電話等による再診 1日として数え、摘要欄に回数を書く
同じ日に初診・再診が2回以上 1日として数え、摘要欄に回数を書く
前に受けた検査や画像診断の結果だけを後日聞きに来た 数えない
往診などの後に、薬だけを後日取りに来た 数えない
診察で検査が必要と分かり、一度帰宅して後日検査だけ受けに来た 数えない

実日数は、再診料などの回数と見比べて点検します。実日数より再診料の回数が多い、または少ないときは、入力の抜けか重複がないかを確かめます。

④ 診療内容と点数:点数欄と摘要欄をセットで読む

明細書の中ほどから下には、診療の区分ごとに点数を書く欄があり、右側に摘要欄があります。

区分(番号) 主に入るもの
11 初診 初診料と加算
12 再診 再診料、外来管理加算、時間外などの加算、回数
13 医学管理 特定疾患療養管理料などの管理料
14 在宅 往診料、在宅医療の管理料
20番台 投薬 調剤料、処方料、薬剤料、処方箋料
30番台 注射 注射の手技料と薬剤料
40 処置 処置料と薬剤・材料
50 手術・麻酔 手術料、麻酔料
60 検査・病理 検査料、判断料
70 画像診断 撮影料、診断料
80 その他 リハビリテーション、精神科専門療法など

左の点数欄には、診療行為の名前と、所定点数・回数・合計点数が入ります。書ききれない内訳は摘要欄に回され、摘要欄の左側に、どの区分の内訳かを示す番号(例:21、60)が付きます。

摘要欄は「点数の内訳」と「算定の理由」の2つを読む

摘要欄には、大きく分けて2種類の情報が入ります。

  1. 点数の内訳:薬剤名と量、検査の項目名など
  2. 算定の理由や条件:算定日、前回の実施日、コメントコードによる説明など

審査で見られるのは、とくに2つめです。算定の理由が要る項目でコメントが抜けていると、査定や返戻につながります。摘要欄がどこにあるか、電子レセプトでどう記録されるかは「レセプトの摘要欄はどこ?」で紹介しています。

算定を間違えないカルテの選び方

算定や記録の抜け漏れは、カルテ側で必要な情報が見えるかどうかで変わります。選ぶときに何を見ればよいかを整理した資料です。

一番やさしい電子カルテの選び方ブックを見る

⑤ 請求の合計:療養の給付と一部負担金額

明細書のいちばん下の段には、請求の合計が入ります。

欄 書かれていること
療養の給付「請求」(保険・公費①・公費②) それぞれに請求する合計点数
一部負担金額 外来で、患者が窓口で負担した額に関わる記載(減額・免除・支払猶予など)
公費分点数 公費の給付の範囲が医療保険と違うときの、公費分の点数

第1公費の合計点数が医療保険と同じなら、公費①の記載は省略されることがあります。点数欄の合計と「請求」の点数が一致しているかは、点検で必ず見る箇所です。

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レセプトを月末に点検するときは、全部の欄を同じ重さで見るより、間違いが起きやすい箇所から見るほうが速く終わります。

# 箇所 よくある間違い 確かめ方
1 保険者番号・記号番号 月の途中で保険が変わったのに、古い番号のまま 月の途中で保険者番号が変わったら、保険者番号ごとに別の明細書になる
2 本人・家族 未就学者・高齢受給者の区分の誤り 生年月日と診療年月から年齢区分を確かめる
3 公費①②の順番 法別番号の優先順位と逆 法別番号の表の順番と照らす
4 特記事項の所得区分 区分の付け忘れ、古い区分のまま 限度額適用認定証やマイナ保険証の情報と照らす
5 傷病名 検査・投薬に対応する病名がない、疑い病名の放置 点数欄の項目ごとに、根拠になる病名があるかを見る
6 診療実日数 再診料の回数とずれる 電話等再診や、薬だけ取りに来た日の扱いを確かめる
7 摘要欄のコメント 算定の理由が要る項目でコメントが抜ける 算定要件にコメントの記載が求められている項目を一覧にしておく

点検で間違いを見つけて、すでに提出した後だった場合は、取り下げて出し直します。手順は「レセプトの取り下げ方法」で紹介しています。

よくある質問

患者が受け取る「診療明細書」と、レセプトは同じものですか

違います。患者に渡す診療明細書は、会計のときに医療機関が発行する明細で、診療の内容と点数を患者に知らせるためのものです。レセプトは、医療機関が保険者に請求するための明細書で、患者の窓口負担を除いた分を請求する前提で作られています。

入院のレセプトも同じ読み方でよいですか

上から5つのまとまりで読む考え方は同じです。ただし入院は様式が違い(医科入院、様式第二号(一))、入院料や食事療養の欄、入院日数などが加わります。

歯科や調剤のレセプトはどう違いますか

歯科は歯式(どの歯に何をしたか)の欄があり、調剤は処方箋を出した医療機関や調剤の内容の欄がある、別の様式です。この記事は医科外来の明細書を前提にしています。

まとめ

  • レセプトは、上から「請求の基本情報」「保険と患者」「医療機関と傷病」「診療内容と点数」「請求の合計」の5つのまとまりで読む
  • 「令和 年 月分」は診療をした月。請求する月ではない
  • 保険種別1・2と本人家族は3つを組み合わせて読み、後期高齢者の負担割合は特記事項の所得区分で見分ける
  • 傷病名は、点数欄の検査・投薬の根拠になっているかを見る
  • 点検は、保険者番号・本人家族・公費の順番・所得区分・病名・実日数・摘要欄のコメントの7か所から

新人が最初の1か月で覚えるなら、まず②の保険と患者の情報を読めるようにすると、受付で受け取った保険証や受給者証の情報と、レセプトの記載を結び付けて理解できます。

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参考

  • 厚生労働省「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号、令和8年度改正後)
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対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

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提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、